新型コロナウイルスの感染拡大により、日本全国を対象に緊急事態宣言が出され、世界でも先進国を筆頭に人的、経済的、社会的に大きな犠牲がもたらされています。働き手として経済を支えていくべき私たちは、今後、どんな働き方・生き方をしていけばいいのでしょうか。現在を正確に知ってより良い将来につなげるために、各界のリーダーに取材した声を緊急特集でお届けします。

 コロナ・ショックは働く人の生活を変え、消費ニーズと消費行動に大きな影響を与えています。キャリア女性に支持されるブランド、kay me代表の毛見純子さんは、コロナ禍で顧客の課題とニーズが急激に変化したことを受けて、オンラインサービスを一気に拡充。テレワークのための新しい仕事服需要にも対応しています。オンラインで仕事を完結する企業が急増するポストコロナでは、求められる人材のスキルも急速に変わるはずといいます。


毛見純子
けみ・じゅんこ/kay me 代表。早稲田大学第一文学部卒業。ベネッセコーポレーション、PwC、ボストンコンサルティンググループでの経営戦略コンサルタントを経て、2008年にマーケティングコンサルティング会社を設立。自らの経験とマーケティングメソッドを生かし、2011年にキャリア女性向けアパレルブランド「kay me」を創業。2015年に英国商工会議所が選出する「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」受賞。2016年日本政策投資銀行「DBJ女性起業大賞」、2017年JNB「グローバル大賞優秀賞」受賞など。

 kay meがスタートしたのは東日本大震災後の2011年です。創業の頃、経営者の先輩から「10年に1度は、パラダイムが変わるような環境変化が起きる」と言われたことを覚えています。環境に適応できる者が生き残るというのは普遍の真理。パラダイム変化を前提にしたマインドセットを持つこと、何があっても常に余裕を持って準備しておくことの重要さを今回のコロナ禍で認識しました。

管理職や経営者、士業の女性たちは何に困っている?

 今回のステイホームの期間に、私たちは顧客に向けて合計4回のオンラインサーベイを実施し、「現在困っていること/人に相談したいこと」「アパレルのアイテム関連(テレワーク中に何を着ているかなど)」について尋ねました。

 kay meの顧客は管理職と経営者が過半数を占め、士業や教職者、政治家など、いわゆる「人と会うのが仕事」という方も多いのですが、まず驚いたのが4月前半の調査時点で、既に9割以上の方がテレワークに移行していたことでした。解決したい課題として「テレワークでの部下やチームメンバーの評価方法・動機づけ」「ポストコロナの新しいビジネスモデル構築、ブランディングやメッセージの発信のしかた」などに関心が高まっていることも分かりました。

テレワークで「オンライン会議のために着替える」が7割

 そして7割以上が「オンライン会議のために服を着替える」と回答し、テレワーク中に何を着ればいいかが課題になっていることも明らかになりました。画面を通してポジティブなメッセージを発するために明るい色の服を着るという方もいて、実際にこの期間はカラフルなカラーカーディガンがよく売れました。

 感染リスクが当面落ち着いても、テレワークは今後恒常的な働き方になると考えられます。きちんと見えるけれど1日中楽に着ていられて、近所に出掛けることもできる「家の中需要」の服の開発を現在進めています。