新型コロナウイルスの感染拡大により、日本全国を対象に緊急事態宣言が出され、世界でも先進国を筆頭に人的、経済的、社会的に大きな犠牲がもたらされています。働き手として経済を支えていくべき私たちは、今後、どんな働き方・生き方をしていけばいいのでしょうか。現在を正確に知ってより良い将来につなげるために、各界のリーダーに取材した声を緊急特集でお届けします。

色鮮やかな花を敷き詰めた「フラワーボックス」の考案者としても知られるフラワーアーティストのニコライ・バーグマンさん。一方で国内外に展開するフラワーショップ、カフェ、フラワースクールなどの経営にも手腕を発揮しています。花業界が大きな打撃を受ける中、リーダーとしてこの危機をどう捉えているのか。今、感じていることを聞きました。


ニコライ・バーグマン
フラワーアーティスト、ニコライ バーグマン代表取締役
1976年生まれ、デンマーク・コペンハーゲン出身。北欧のテイストと細部にこだわる日本の感性を融合させた独自のスタイルで、ギフトの定番となった「フラワーボックス」を考案。世界有数のファッションブランドとの共同デザインプロジェクトなどを数多く手がける。ソウル、ロサンゼルスなど国内外に14店舗のフラワーブティックを展開するほか、カフェやギャラリー、フラワースクールなども運営。フラワーボックス20周年を記念した展覧会を11月六本木ヒルズよりスタート

欧州の情報から変化の兆しをキャッチ

―― 本来、花き需要が高まる3月から新型コロナウイルスによる自粛が始まり、多くのイベントや式典などが中止されました。花の価格は下落し、花き業界は大きな打撃を受けています。このピンチにどう対処していますか?

ニコライ・バーグマンさん(以下、敬称略) 本当に厳しいですね。今回の新型コロナウイルスのニュースに対しては早めに対応してきました。ロサンゼルスとデンマーク、ソウルにもお店があり、もともとグローバルニュースには関心をもっていましたが、特にデンマークは変化が早かった。私はアーティストですが、経営者でもあるので、これからどうなるか、早く判断して対処しなくてはならない。すぐに運転資金を確認し、各方面と交渉を始めました。家賃もそうですが、長い付き合いのサプライヤーとは関係性が強いので、コロナの問題を一緒に乗り越えていきましょうと話し合いをしました

ファッションブランドとの共同デザインプロジェクトなど、数多くのチャレンジを続けてきたフラワーアーティストのニコライ・バーグマンさん。20代のときから日本のフラワーショップで修業を積んだ
ファッションブランドとの共同デザインプロジェクトなど、数多くのチャレンジを続けてきたフラワーアーティストのニコライ・バーグマンさん。20代のときから日本のフラワーショップで修業を積んだ

―― 困難にあるとき、リーダーとして大事なことは何だと思いますか。

ニコライ 決断を早くすること。そして一番簡単でもあり、一番難しくもあるのがコミュニケーションですね。こういうときリーダーは重い決断を下さなくてはいけない。結論まで時間をかけるのは簡単ですが、それは事態を悪化させる。僕はファーストインプレッションが大事だと思っています。自分のビジネスがこれまでうまくいったのはファーストインプレッションを大切にしてきたから。その9割は正しかったと思っています。