新型コロナウイルスの感染拡大により、日本全国を対象に緊急事態宣言が出され、世界でも先進国を筆頭に人的、経済的、社会的に大きな犠牲がもたらされています。働き手として経済を支えていくべき私たちは、今後、どんな働き方・生き方をしていけばいいのでしょうか。現在を正確に知ってより良い将来につなげるために、各界のリーダーに取材した声を緊急特集でお届けします。

 全国各地に住む社員約40人全員がリモートワークで勤務するソニックガーデン代表取締役の倉貫義人さんは、「リモートワークをスムーズに進める上では、チームとしての関係性がしっかり構築できているかどうかが重要」と話します。インタビューの第2回は、リモートワークにまつわる管理職の悩みについてです。

(1)テレワークで問われる 普段からのチームビルディング
(2)「テレワークでマネジメントできない」はマネジャー失格 ←今回はココ
(3)テレワークの達人が日経ARIA読者の悩みに回答


倉貫義人
ソニックガーデン代表取締役社長
くらぬき・よしひと/1974年京都生まれ。1999年に立命館大学大学院を修了し、TIS(旧・東洋情報システム)に入社。2009年に社内ベンチャーを立ち上げ、2011年にMBOを行ってソニックガーデンを設立する。月額定額&成果契約で顧問サービスを提供する「納品のない受託開発」を展開。全社員リモートワーク、オフィスの撤廃、管理のない会社経営など新しい取り組みも行っている。著書に『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』『管理ゼロで成果はあがる』『リモートチームでうまくいく』など。

働いている様子が見えないと、マネジメントできない?

―― 今回、日経ARIAが読者を対象に行ったリモートワークに関するアンケートでは、マネジメントの立場にある人から「仕事の進捗や勤怠の管理など、どうチームをマネジメントしたらいいか不安」「人事評価はどうしたらいいのか」といった声が届きました。

倉貫義人さん(以下、敬称略) 逆に僕から聞きたいのですが、その不安を感じている皆さんは、オフィスにいたときはどうマネジメントされていたのでしょうか? 仕事の進捗を席にいるという雰囲気から読み取っていたのか。そんなことはないはずですよね。

―― 「姿が見えないので、ちゃんと働いているかどうか分からない」とコメントしている人がいました。つまり、椅子に座ってパソコンに向かっていると、「ああ、仕事しているな」と思えるのかなと……。

倉貫 それは仕事をしているかどうかを見ていることにはならないですよね。パソコンに向かっているだけで安心していた、逆にそれが見えないと不安になるということは、雰囲気だけでマネジメントした気になって、ちゃんとできていなかったのかもしれません。

 管理することとマネジメントすることを、ちゃんと分けたほうがいいと思います。勤怠管理は法律で定められていることですので、僕たちももちろん実施しています。オフィスでタイムカードを押すことができない代わりに、ログを自動的に集めることで勤務状況を確認する仕組みです。

 勤怠管理は働かせることが目的ではなく、働き過ぎて心身を壊してしまうことを防ぐためのもの。本来のマネジメントということであれば、前回お話しした朝のミーティングで1日に行う仕事の確認をし、夕方またミーティングをして、進捗を確認すればいいだけのことです。途中ずっとパソコンに向かっていたかどうかは関係ありません。