新型コロナウイルスの感染拡大により、日本全国を対象に緊急事態宣言が出され、世界でも先進国を筆頭に人的、経済的、社会的に大きな犠牲がもたらされています。働き手として経済を支えていくべき私たちは、今後、どんな働き方・生き方をしていけばいいのでしょうか。現在を正確に知ってより良い将来につなげるために、各界のリーダーに取材した声を緊急特集でお届けします。

 生産性の高い組織を目指し、多くの組織にワーク・ライフ・バランスに関するコンサルティングを提供しているワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵さん。今、ここでの取り組みが新型コロナ収束後、働き方改革の進んだ職場へと転換するカギになるといいます。同社のオンラインセミナーから、新型コロナウイルス対策として行われるリモートワークで生産性を上げる秘訣や、働き方改革が今すぐ必要な背景について2回に分けて紹介します。


年200回以上の講演を行うというワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵さん
年200回以上の講演を行うというワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵さん

 新型コロナウイルスへの対応で急きょリモートワークを始めた職場も多いのではないでしょうか。十分な準備ができないまま在宅勤務が始まり、コミュニケーションがスムーズにいかなかったり、仕事に混乱が生じたりしているのなら、まず、次のようなことから試してみてください。

チャットで雑談できる環境をつくる

 職場にいれば、分からないことがあったらすぐに「ちょっと教えてください」「これは、このやり方でいいですか?」と同僚や上司に聞くことができます。でも、家で仕事をしていると、分からないことがあっても気軽に誰かに聞くことができません。そのため間違った方向性で8割がたの仕事を進めてしまい、かけた時間以上の時間をかけてやり直すという事態も起きています。

 在宅勤務を始めたら、ぜひ導入してほしいのが「チャット」です。雑談用のチャットなどを作って気軽に話しかけられる体制を作れば、上司や同僚に質問するハードルが下がり、仕事が滞りなく進められるようになります。

 また、オンラインでの会議も増えていると思いますが、大勢でオンライン会議をすると「無表情で聞いているだけ」の人が出てきます。会議を進めていく役割のファシリテーターは、参加者が無反応だと大変不安になるものですが、いつも受け身で会議に参加している人には、そのつらさが分からないのです。