「30代だと部長にはちょっと早いよね」「私も50代、新しいことに挑戦するような冒険はやめておこうかな」――。そんな風に年齢に基づく固定観念で判断したり差別したりするのがエイジズムです。気づかないうちにとらわれていませんか? エイジズムに縛られない思考が身につけば、組織はもっと活性化し、個人の人生はより豊かになります。

 自分では年齢に関係なく自分らしく挑戦し続けたいと思っていても、社内の雰囲気でなんとなく無理したり、あきらめたりしてしまうことはないだろうか。年齢や性別、経歴などを仕事から切り離した、2つの先進企業の取り組みを聞いた。まず訪れたのはイケア・ジャパン。Country People & Culture Managerの朝山玉枝さんは、「年齢の話は会社でしませんね」と社内の様子について話してくれた。

年齢や経歴は平等な機会を邪魔する

編集部(以下、略) イケア・ジャパンではさまざまな年齢、経歴、国籍の人が働いていますが、そういった個人の属性が仕事とひも付くことはありますか?

朝山玉枝さん(以下、朝山) ないですね。年齢がひも付くのは就労可能な年齢、つまり18歳から65歳の範囲内かどうかと、健康診断のときだけ。定年は65歳ですがそのときに本人の希望を聞いて1年更新で70歳まで就労できます。給料などの条件は再雇用でも全く変わりませんし役職を降りる必要もない。何も変わりません。

イケア・ジャパン Country People & Culture Manager 朝山玉枝さん
イケア・ジャパン Country People & Culture Manager 朝山玉枝さん

朝山 会社として譲れないことは、平等な機会を提供すること。それに年齢は邪魔なんです。そこを曲げるとイケアの基本理念が崩れる。平等な機会には年齢や性別、国籍、学歴などは関係ないんです。

 イケアでは、世界各国の空きポジションを公開し、興味のあるポジションに自由に応募できる制度があります。18歳で入社した人も、試用期間が終わればどんな仕事にチャレンジしてもいい。自分の部署のマネジャーと「リーダーになりたいのならこういう勉強をしておかないとね」ということは話し合うと思いますが、何をやってもいい。

 あるポジションに10人応募があって、1人しか受からないということも当然ありますが、受かった、受からなかったで評価されることもありません。チャレンジすることが素晴らしい。