「30代だと部長にはちょっと早いよね」「私も50代、新しいことに挑戦するような冒険はやめておこうかな」――。そんな風に年齢に基づく固定観念で判断したり差別したりするのがエイジズムです。気づかないうちにとらわれていませんか? エイジズムに縛られない思考が身につけば、組織はもっと活性化し、個人の人生はより豊かになります。

 年齢を気にせず、若手に気後れすることなく年長者ならではの強みを生かし、若手から信頼され、同時に新たな学びを得ることで自身も成長していく。これが今ARIA世代に求められている「モダンエルダー(新しい年長者)」としてのあり方です。そんなモダンエルダーを目指すうえで、若手に対して積極的にやっていきたいこと、またやってしまいがちなNGな言動について、『モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方』(日経BP)の解説者であり、モダンエルダーとしてさまざまな分野で活動する外村仁さんに話を聞きました。

編集部(以下、略) 前回の記事では、ARIA世代が「モダンエルダー」になるためのファーストステップについて教えてもらいました。年長者ならではの知恵を生かす方法もありましたが、踏み間違えると逆に若手に煙たがられたり、「老害」などと陰口をたたかれたりしそうです。スマートな「モダンエルダー」になるために、気を付けるべき点はありますか?

外村仁さん(以下、外村) 前回の「ボランティア現場に大企業的な感覚で入っていくともめる」という話とかぶるのですが、やっぱり一番やってはいけないのは、良かれと思ってすぐにアドバイスや意見をしてしまうことでしょうか。特に過去に成功体験があればあるほど注意が必要です。

―― 成功している体験なら良いのではないでしょうか!?

外村仁
外村仁
ほかむら ひとし/1963年生まれ。サンフランシスコ在住。東京大学卒業後、Bain & Company、Apple社を経て2000年にシリコンバレーで起業。Evernote日本法人会長を務めた後、スクラムベンチャーズ、All Turtles、mmhmmなどでアドバイザーを務める。2020年に Food Tech Studio - Bites!を創設し、日本の大手食品メーカーと世界のスタートアップによるオープンイノベーションを推進中