企業の管理職、チームリーダーとして、組織を統率する立場にあるARIA世代。20代の新入社員から定年間近の50代まで、さまざまな価値観のメンバーを束ねなければならないばかりか、時に自らもプレーイングマネジャーとして動かなければならず、日々悪戦苦闘している人も多いでしょう。しかし、完璧なリーダーが、強いチームをつくるわけではありません。どのようなリーダーが今、求められているのか? 部下とのコミュニケーションはどうすればいいのか? アンケート調査や成功事例から、令和時代のリーダーシップと最強チームのつくり方を探ります。

理想はコミュニケーション巧者。そうはいっても…

 言った通りに動かない部下にウンザリしたり、成果が出ない部下にイライラしたり……。実はそれ、部下の問題ではなく、リーダーであるあなたが部下を生かし切れていないだけかもしれません。「人が育たない組織の根底にあるのは、コミュニケーション不足、あるいは思い込みや勘違いによる誤ったコミュニケーションです」と話すのは、コミュニケーションについての研修や講演を多数行う沖本るり子さん。

 今回、日経ARIA読者の女性リーダー248人に行ったアンケートからも浮かび上がった理想のリーダー像は、「コミュニケーションを取るのがうまい」こと。とはいえ、「分かっちゃいるけど、それができないんだって!」とお嘆きの人も多いはず。「リーダーがコミュニケーションスキルを磨くことで、どんな部下も期待以上に動き、成果を出すことができます」と言い切る沖本さんに、個性豊かな部下を束ね、強いチームをつくるためにリーダーが心得るべき秘策を聞きました。さらに「リーダーから部下にかけたい言葉」を沖本さんが厳選。今日からすぐに活用できます!

次ページ以降で、部下が期待以上に動き出す伝え方の秘策を解説します
次ページ以降で、部下が期待以上に動き出す伝え方の秘策を解説します

聞き手は、自己流に解釈するもの

―― 組織のメンバーと円滑にコミュニケーションを取るために、まずリーダーが心掛けるべきことはなんでしょうか。

沖本るり子さん(以下、敬称略) 真っ先に挙げたいのは 「部下の聞く力を過信しない」ということです。 私の元には、リーダーや管理職の方からコミュニケーションに関する多くの相談が寄せられますが、最も多いのは「言ったつもり」の人や「伝えたはず」と思い込んでいる人。「つもり」は、残念ながらあなたの「つもり」でしかない。部下の聞く力に期待をしすぎてはいけません。聞き手は自分の聞きたいように聞き、都合のいいように解釈をしてしまうため、相手に「こちらの指示や思惑通りに聞いてもらう」工夫をする必要があるのです。

 そもそも、「発信のレベル」は次ページのように5段階に分かれています。

部下とのコミュニケーションはしっかり取れていますか? 伝えたこと以上、期待以上の成果を部下は上げてくれていますか?
部下とのコミュニケーションはしっかり取れていますか? 伝えたこと以上、期待以上の成果を部下は上げてくれていますか?
最終ページでは、ARIA世代のリーダーが覚えておきたい「部下にかけたい言葉」を沖本さんが厳選。ただし、ただ連発すればいいというものではありません。1~5の使い方のコツも解説します
最終ページでは、ARIA世代のリーダーが覚えておきたい「部下にかけたい言葉」を沖本さんが厳選。ただし、ただ連発すればいいというものではありません。1~5の使い方のコツも解説します