人生のちょうど折り返し地点に立つARIA世代。仕事への責任感や周囲への義務感にとらわれ、「自分の幸せ」を後回しにしていませんか? 人生100年時代を前向きに生き抜くためには、このへんで自分の幸福度を上げるシフトチェンジが必要かも。自分の「好き」を追いかけて、人生を転換させた7人のケースから、ARIA世代の「幸福論」を考えます。

50代、人生で初めて1人暮らしをしたら…

 2019年11月、数年間にわたって一緒に暮らしたパートナーから別離を言い渡されるという経験をした勝間和代さん。その数日後には前向きな言葉を発信するレジリエンスを発揮しましたが(勝間和代 大失恋から奇跡的レジリエンス「コツは分散」)、意外にもその出来事が、「人生で最も幸せを感じる」きっかけになったと言います。勝間さんの幸福度を「過去最高」に上げたものは何だったのか。勝間流の幸福論を聞きました。

編集部(以下、略) パートナーと別れることは誰にとってもつらい経験だと思いますが、それが人生で最も幸福度が高い状態につながったというのはどういうことですか?

勝間和代さん(以下、敬称略) もともと自由でいたり、好きに暮らしたりするのが好きなので、人と暮らすのが向いてなかったんですよ。それが一番大きな理由です。私、生まれて初めて1人暮らしを始めたのが2019年4月からなんです。結婚前は親と住んでいましたし、結婚後は夫や子どもたちと暮らしていた。だから前のパートナーと別れて、人生で初めて1人暮らしをしたら、周りの友達に「いきいきした」「幸せそう」と言われ始めた。

勝間和代 経済評論家、「監査と分析」取締役、中央大学ビジネススクール客員教授
勝間和代 経済評論家、「監査と分析」取締役、中央大学ビジネススクール客員教授
かつま・かずよ/1968年、東京都生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得し、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。近著は『自由もお金も手に入る! 勝間式超スローライフ』(KADOKAWA)

―― 初めて1人暮らしをされて、どんな気づきがあったのですか。

勝間 それまで家族やパートナーがいるのが当たり前だと思っていたので、誰かに調和するのが当然だと思っていたんですね。ところが、2019年4月に前のパートナーが選挙に出るといって別居生活が始まった。それで1人暮らしになったとき、「あれ、おかしいな。楽しい」と(笑)。同年の11月、相手から別れを切り出されて、そのときはすごく悲しかったのですが、3日、1週間とたつとだんだん立ち直っていった。

 結局、「家族と暮らすのが幸せ」「パートナーといるのが幸せ」と常識を疑ってみたことがなかったんですね。人によって違うとは思いますが、別に強がりでもなく、私にとって「1人って楽しいな」と、そのときはっきり気づきました。もちろん、誰もがそうだとは思いませんが。