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「好き」を追いかける 40代からの「幸福論」

誤注文から始まった「塊肉」との出合いが運命を変えた

お肉ジャパン・片根淳子 塊肉への情熱一本でFacebookを窓口に専門店を起業


人生のちょうど折り返し地点に立つARIA世代。仕事への責任感や周囲への義務感にとらわれ、「自分の幸せ」を後回しにしていませんか? 人生100年時代を前向きに生き抜くためには、このへんで自分の幸福度を上げるシフトチェンジが必要かも。自分の「好き」を追いかけて、人生を転換させた7人のケースから、ARIA世代の「幸福論」を考えます。

「好き」を追いかける 40代からの「幸福論」

 肉好きによる肉好きのための塊肉(かたまりにく)専門店、「お肉ジャパン」代表の片根淳子さん。塊肉のおいしさと見た目の美しさに惚れ込み、その情熱だけで新潟市内にお店を開業。良質な和牛を中心とした、片根さんセレクトのさまざまな部位の塊肉をSNSで販売すると、全国から注文が殺到し、毎回即完売するほどの人気ぶりだそうです。そんなあふれんばかりの“お肉愛”で多くのファンを魅了する片根さんに、この仕事を始めたきっかけややりがいについて話を聞きました。

大企業を退職、父母の死。転機に出合ったのが塊肉だった

編集部(以下、略) 「お肉ジャパン」を始めるきっかけとは何でしょうか?

片根淳子さん(以下、敬称略) 大手の損害保険会社で営業職として忙しく働いていたんですが、父の死や難病を発症した母の看病などが重なり、心身の調子を崩してしまったんです。ちょうどその頃、結婚したこともあって、17年間勤めた会社を退職しました。

 母をみとった後、夫の住む新潟に移り住みましたが、母を失ったショックでしばらく落ち込んでいたんですね。そんなときにふと、「大好きなお肉をおなかいっぱい食べたい」と思い、ネット通販でお肉を注文すると、業者さんが取り扱うような大きな塊肉が届いて。てっきり、スライスされた焼肉のセットが届くと思いきや、私の確認不足で誤注文してしまったんです。2㎏の塊肉を目の前に「どうしよう!」とぼうぜんと立ち尽くし、とりあえず冷蔵庫にそのまま眠らせていました。

 家に遊びに来た友人から「しまいっぱなしにしておくのは良くないよ!」と忠告され、いよいよ重い腰を上げてお肉に包丁を入れてみたら、これがすごく面白くて! それが塊肉との初めての出合いでした。

お肉ジャパン代表 片根淳子さん。トレードマークの赤い髪は、漫画『北斗の拳』の大好きなキャラクター、ラオウのオーラの色
お肉ジャパン代表 片根淳子さん。トレードマークの赤い髪は、漫画『北斗の拳』の大好きなキャラクター、ラオウのオーラの色

―― 塊肉のどんなところに魅力を感じたのでしょう。

片根 お肉は通常、スーパーなどできれいにスライスされた状態で売られていますが、大きな塊肉の場合は分厚い脂やスジがそのままの状態で付いているんですね。これが本物のお肉なんだと、驚きと感動がありましたし、その脂やスジをすべて自分でトリミング(整形)しながら、切っていく過程が面白いなと思ったんです。

 最初は何も分からず、手探りで切っていましたが、調べていくうちに切り方によって、硬いお肉も柔らかくなったり、逆に柔らかいお肉が硬くなってしまったりと、奥が深いことが分かりました。何より、塊肉ってガツンとうまみがあっておいしいし、カットしていくとそれぞれ表情が違って芸術作品のように美しいんですよ。

 すっかりとりこになってしまい、毎日塊肉に包丁を入れては試食する日々が続きました。当時、お肉を仕入れていた業者の方から、「そんなに肉が好きなら、精肉店をやってみたら?」と言われて、「まったくの素人の私にもできるの?」と希望が湧いて。そこからの動きは速くて、「よし、塊肉の専門店をやろう」と決めてから2カ月後には開業していました。

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