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「好き」を追いかける 40代からの「幸福論」

同僚の突然死 今を生きようと40代で海洋生物写真家に

高橋怜子 20年以上勤めた半導体メーカーを退職して「今はかみしめるような幸せがある」


人生のちょうど折り返し地点に立つARIA世代。仕事への責任感や周囲への義務感にとらわれ、「自分の幸せ」を後回しにしていませんか? 人生100年時代を前向きに生き抜くためには、このへんで自分の幸福度を上げるシフトチェンジが必要かも。自分の「好き」を追いかけて、人生を転換させた7人のケースから、ARIA世代の「幸福論」を考えます。

「好き」を追いかける 40代からの「幸福論」

安定志向の自分が会社を辞めるなんて…

 「自分はすごく安定志向だったんですよね。会社を辞めることなんて自分の人生にないし、定年までずっと会社にいると思っていました」と話す、海洋生物写真家の高橋怜子さん。2017年に20年以上勤めた大手メーカーを退社し、世界の海を巡ってクジラ、イルカなどの海洋生物を撮る生活を始めた。その翌年、世界的に権威がある米誌ナショナル ジオグラフィックの写真コンテスト「2018 National Geographic Travel Photographer of the Year」において日本人で初めてグランプリを受賞。海洋生物写真家として一躍世界にその名前が知られるようになった。

高橋怜子 海洋生物写真家
高橋怜子 海洋生物写真家
たかはし・れいこ/岩手県大船渡市出身。山形大学理学部化学科卒業。大手メーカーで半導体研究のエンジニアとして勤務。シリコンバレーやシンガポールなどにも駐在。2017年、20年以上勤めた会社を退社。フリーのカメラマンとして活動を開始。2018年6月、米誌ナショナル ジオグラフィックの写真コンテスト「2018 National Geographic Travel Photographer of the Year」でグランプリを受賞。

半導体エンジニアとして開発にしのぎを削ってきた

 会社員時代の高橋さんは半導体の開発に携わるエンジニアとして、シリコンバレーやシンガポールなどに駐在し、チームリーダーとして責任ある仕事をしてきた。半導体の研究部門はハードな職場で、開発も1分1秒刻み。「ゆっくり明日までに仕上げる」は許されない。

 「きつい部署でしたね。帰宅は深夜も当たり前。体を壊したり、心を病んだりする人も少なくなかった。自分自身は『そんなものだ』と思っていたし、しのぎを削る開発競争はスリリングで面白いところもある。自分の力をどれだけスマートに使えるか、開発の進展が1人ひとりにかかっていると感じていました」

 そのころは夏休みや正月休みなどの長期休暇のたびに海外に出かけ、趣味の水中写真に熱中していた。「最初は長期休暇に海外へ行くことで満足していたのですが、だんだん行きたい場所が増えていきました。休暇が終わると、次の休暇のことを考える。きりがないわけですよね。5種類のサメが泳ぐバハマの海、メキシコのソコロ諸島、イワシが大きな群れをなす南アフリカのサーディンラン……。行きたいところをメモしていくと、長いリストになった。これをこなすには健康で長生きしなくちゃと思っていました」

伊豆諸島御蔵島で撮影(写真提供/高橋さん)
伊豆諸島御蔵島で撮影(写真提供/高橋さん)

 そんな高橋さんが「会社を辞めて、今、本当にやりたいことをやろう」と考えたきっかけは同僚の死だった。

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