今の日本に圧倒的に足りていないもの。それは女性のリーダーです。120位というジェンダーギャップ指数からもそのことが浮き彫りになる中、「大きな組織のトップ」というバトンを受け取った注目のリーダーたちは、どのように考え、自分の色を出しながら動いているのでしょうか。そして、彼女がリーダーになった理由とは? トップダウンでも、ボトムアップでもない、これからのリーダーに必要とされるスキルについても考察します。

 時代の変化と共に繰り返し問われてきたのが、その時代のリーダーシップのあり方だ。リーダーシップ論の気鋭の研究者、神戸大学大学院の鈴木竜太教授に、不確実で不透明さを増す時代、リーダーはどのように行動すべきかをテーマに聞いた。

―― VUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代といわれる中、新型コロナウイルスの感染拡大で社会環境はさらに不透明さを増しています。リーダーシップには今、何が求められているのでしょうか。

鈴木竜太さん(以下、敬称略) コロナ禍が全世界に広がる現在の状況は、ほとんどの人が経験したことがなく、今後の予測も正確には難しい。そうした中で各組織のリーダーは、部下やスタッフなどのフォロワーが自ら考えて、いわば自律的に動くように導くことが一層重要になっています。

 リーダーシップとは人を動かす影響力を意味します。今の時代は、フォロワーが自らのアイデアや考えを発揮して自発的に行動してもらうように促すことが、重要なリーダーシップなのです。

 リーダーシップの研究領域では2000年ごろから、トップダウンではなく現場の知恵や考えを生かしていくことが必要だといわれるようになりましたが、現在の過酷な状況がそれを加速させていると言えます。

 気をつけなくてはならないのは、人に何かを働きかけることで、その人の自律性を奪う場合があり得ます。ですから、私は「促す」という、やや中庸の意味がある言葉を用いているのです。

鈴木竜太/1994年神戸大学経営学部卒業。99年に神戸大学大学院博士後期課程修了後、静岡県立大学経営情報学部専任講師、神戸大学大学院経営学研究科助教授を経て2013年より現職。著書に『組織と個人』(白桃書房)、『自律する組織人』(生産性出版)、『関わりあう職場のマネジメント』(有斐閣、日経・経済図書文化賞受賞、組織学会高宮賞受賞)、『はじめての経営学』(東洋経済新報社)、『組織行動―組織の中の人間行動を探る』(有斐閣)など
鈴木竜太/1994年神戸大学経営学部卒業。99年に神戸大学大学院博士後期課程修了後、静岡県立大学経営情報学部専任講師、神戸大学大学院経営学研究科助教授を経て2013年より現職。著書に『組織と個人』(白桃書房)、『自律する組織人』(生産性出版)、『関わりあう職場のマネジメント』(有斐閣、日経・経済図書文化賞受賞、組織学会高宮賞受賞)、『はじめての経営学』(東洋経済新報社)、『組織行動―組織の中の人間行動を探る』(有斐閣)など