政府や企業が必死で女性活躍を進めているにも関わらず、昨年発表されたジェンダー・ギャップ指数は過去最低の121位に。いまだ管理職の座は男性で占められています。ジェンダーギャップの解消は、個人の問題だけでなく日本の国際競争力を高めるためにも急務。企業などの組織は、そしてARIA世代の女性たちは、何をすべきでしょうか。組織で働く女性管理職や専門家のインタビューで考えていきます。

 働く女性を取り巻く社会の認識や制度、組織の風土はこの数十年で大きく変化してきました。世代によって見てきた風景も違うことを考えると、ジェンダーギャップについての意識にも違いがあって当然です。ではARIAの後輩世代は、現状とこれからの女性の働き方、生き方についてどのように考えているのでしょうか。異なる環境で働く30代の3人に語ってもらいました。

【座談会参加者(写真右から)】

森本萌乃さん(30歳)
大手広告代理店や外資系企業を経て、現在は男性向けアパレルのスタートアップ企業で働きつつ、本を通じて人と出会うマッチングサービスの会社を2019年に起業。

松田さん(仮名・35歳)
PR会社2社で12年働いたのち、2020年1月からは美容系のスタートアップ企業で広報を担当している。小3と3歳の2女のママ。

石川さん(仮名・32歳)
歴史の長い大手金融系企業に新卒で入社し、一貫して法人営業を担当。

ジェンダーギャップ過去最低に「そうだろうな」

―― 皆さんの世代がジェンダーギャップの問題をどう捉えているのかはとても興味があります。今日はぜひ本音を聞かせてください。進行役は、スピーカーも兼ねて森本さんにお願いします。早速よろしくお願いします。

森本さん(以下、敬称略) はい! それではまず、日本のジェンダー・ギャップ指数が2019年に過去最低を記録したということがいろんなメディアで取り上げられていますが、お二人は最初に聞いたときにどう思いましたか?

松田さん(以下、敬称略) 「やっぱりそれくらいだよなあ」という現実的な数字だと思いました。私は前職のPR会社で8年間、主にベンチャーやスタートアップ企業の広報を請け負う仕事をしていたんですね。経営層とも対等に話ができる環境にあったのですが、最後の最後ではサウナや喫煙室みたいな閉じた空間で話がされて、そこに入れてもらえないケースがたびたびありました。

石川さん(以下、敬称略) 私も「そうだろうね」という感じでした。理由は3つあります。まず、私が勤めているのは昔も今も男性中心の「ザ・昭和」な会社。私が所属する法人営業部門は営業職60人のうち、女性は数人しかいませんし、女性の管理職もいません。採用の段階ではある程度採っているんですけど、結婚して辞めてしまうか、出産後に復帰しても子育てしながら営業を続けるのが難しく、事務職に移る人が多いです。

 2つ目は私の仕事では取引先が中小企業で、経営者は60~80代の男性が多いです。10年この仕事をしていますが、女性経営者に出会ったことは今まで5回くらいしかありません。というのも、この世代の方にとって女性は経営者や管理職にはなれないという認識。あくまでも女性は小間使いで、最後の最後は男性の社長が取引先の男性の上司と話をして契約を決めるものという色合いが強いです。

 そうした中で、自分で最後まで話をして契約いただいたケースもありますが、相手の性別にかかわらず大抵言われるのが「女性なのに営業で頑張っているから、あなたから契約する」ということ。お客様に悪気は全くないですが、やはり男性・女性というのは意識として残っているんだなと強く感じます。

 3つ目は、最近の新型コロナ感染防止対策でなおのこと感じるようになったことがあります。