政府や企業が必死で女性活躍を進めているにも関わらず、昨年発表されたジェンダー・ギャップ指数は過去最低の121位に。いまだ管理職の座は男性で占められています。ジェンダーギャップの解消は、個人の問題だけでなく日本の国際競争力を高めるためにも急務。企業などの組織は、そしてARIA世代の女性たちは、何をすべきでしょうか。組織で働く女性管理職や専門家のインタビューで考えていきます。

 ここ数年、政府も企業も女性活躍推進に取り組んでいるにもかかわらず、なぜギャップは埋まらないのか。アパショナータ代表で、ダイバーシティ研修などを手がけるコンサルタントのパク・スックチャさんに分析してもらった。

M字カーブはほぼ解消されても、手厚い両立支援があだに

―― ジェンダー・ギャップ指数で、日本は121位と過去最低を記録しました。日本の評価はなぜこんなに低いのでしょうか。

パク・スックチャさん(以下、敬称略) 日本が何もやっていないわけではなくて、他国の変化がそれ以上に早い。これがまず1つ。それとよくいわれることですが、政治分野での女性の登用が進んでいない。経済分野に限定すると、女性の就業者は増えたけれども、責任あるポジションに就いている女性はまだまだ少ないという点が挙げられます。

パク・スックチャ
パク・スックチャ
アパショナータ, Inc.代表。ダイバーシティー(多様性)&ワークライフ・コンサルタント。日本生まれ、韓国籍。米国ペンシルバニア大学経済学部BA(学士)、シカゴ大学MBA(経営学修士)取得。企業にて人事、スペシャリストおよび管理職研修企画・実施を手掛けた後、2000年に退社。日本で最初にワークライフバランスを推進するコンサルタントとして独立。ダイバーシティーの専門家として意識・風土改革や教育研究に携わる。近年では「偏見(バイアス)」と「自信」への問題意識を高めるべく、教育、講演、執筆等の普及活動及び組織での意識・行動変革にも力を注ぐ

 女性活躍といった場合、何を指標とするか。1つはどれくらいの女性が働いているか、でしょう。15歳以上65歳未満の生産年齢人口に対して、労働人口がどれくらいの割合を示した数を労働力率といいますが、この労働力率に関して、日本は2017年の時点で既に米国やフランスを上回っています。しかも、その上がり方が2012年から2013年ごろを境に急激です。

 かつて、女性は出産すると仕事を辞めることが問題視されていました。いわゆる「M字カーブ」の問題です。しかし女性の年齢階級別労働力率の推移を見ると、このM字カーブはほぼ解消され、特に正社員に関しては多くの女性が結婚・出産後も働き続けるようになっています。

―― 女性が結婚・出産後も働き続けられるようになった背景には、手厚い両立支援があると思います。

パク おっしゃる通り、両立支援を手厚くしたために辞める理由が無くなった。ただし、手厚い両立支援は同時に、女性活躍を阻む要因にもなっています。