政府や企業が必死で女性活躍を進めているにも関わらず、昨年発表されたジェンダー・ギャップ指数は過去最低の121位に。いまだ管理職の座は男性で占められています。ジェンダーギャップの解消は、個人の問題だけでなく日本の国際競争力を高めるためにも急務。企業などの組織は、そしてARIA世代の女性たちは、何をすべきでしょうか。組織で働く女性管理職や専門家のインタビューで考えていきます。

 日経ウーマンと日経ウーマノミクス・プロジェクトが上場企業など国内有力企業を対象に実施した「企業の女性活用度調査」において、2018年から2年連続で「女性活躍推進度部門」1位となった三井住友海上火災保険。傷害疾病損害サポート部長であり、MS&ADインシュアランスグループ全体のダイバーシティ&インクルージョンも担当する執行役員の本島なおみさんに、これまでのキャリアの軌跡を伺いながら、企業内でのジェンダーギャップ解消に何が必要かを考えていきます。

本島 なおみ<br>三井住友海上火災保険執行役員 傷害疾病損害サポート部長
本島 なおみ
三井住友海上火災保険執行役員 傷害疾病損害サポート部長
1987年入社。損害サービス、経営企画、グループ会社など多岐にわたる部門を経験する。2014年に傷害疾病損害サポート部長に就任し、2018年から執行役員。持ち株会社であるMS&ADホールディングスのダイバーシティ&インクルージョン担当執行役員を兼務する。

雇均法第1世代、20代は男女差を感じなかったが…

―― 本島さんが住友海上火災保険(当時)に総合職として入社したのが、男女雇用機会均等法が施行された翌年の1987年。入社後、男性と異なる扱いを受けるなど、初の女性総合職ということで、やりにくかったことはありませんでしたか。

本島なおみさん(以下、敬称略) 総合職の新入社員は100人以上いましたが、その中で女性はわずか5人。圧倒的な少数派でしたが、差別などを感じたことは全くありませんでした。というのも、もともと保険業界は多くの女性を採用してきましたし、現場で女性が主力として活躍してきた実態があったからだと思います。20代後半ではPL保険(生産物賠償責任保険)の実務について学ぶため、1年間の海外研修に出る機会にも恵まれました。

 男性と同様に働くことに難しさを感じるようになったのは、社内結婚をして32歳で長男を出産、その後職場復帰して働き方に制約が生じるようになった頃からです。

雇均法第1世代の本島さんが、男性と同様に働くことに難しさを感じたきかっけは?ジェンダーギャップ解消に必要と考えることは? 次ページ以降で詳しく紹介する
雇均法第1世代の本島さんが、男性と同様に働くことに難しさを感じたきかっけは?ジェンダーギャップ解消に必要と考えることは? 次ページ以降で詳しく紹介する