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スゴい二刀流

スマイルズ遠山 アートと二刀流で目指す“新種の老人”

商社時代にアーティストとして個展を開いたことが「Soup Stock Tokyo」の原動力に


「二兎(と)を追う者は一兎をも得ず」――そう思っているあなたは古いかも。2つの分野に同じくらいの情熱を注ぎ、高みを目指すことで、自身の可能性を広げている人たちがいます。異なる世界を行き来しながら築くキャリアの豊かさやリーダーとしての強みとは? ハイレベルな「二刀流」の実像から、変化の時代を生き抜くヒントを探ります。

スゴい二刀流

 スープの専門店「Soup Stock Tokyo」、ネクタイブランド「giraffe」、ニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」などさまざまな事業を展開するスマイルズの社長・遠山正道さんは、アーティストとしての顔も持つ。多忙であっても、あえてビジネスとは異なる分野を追求し続ける理由、そして本業以外の活動が本業に与える影響とは?

専門性がないから、いろいろなことをしてきた

編集部(以下、略) まずお聞きしたいのですが、遠山さんにとってスマイルズの社長とアーティスト活動は、どちらが本業ですか。

遠山正道さん(以下、遠山) 間違いなく、軸はスマイルズの社長です。さまざまな事業を手掛けていますが、もともと自分にはこれといった専門性が一つもないんです。

 Soup Stock Tokyoを立ち上げましたが、僕自身はスープを作れない。社長としてはお金管理も苦手だし、商社にいたけど英語もうまくないんです。だけどかっこよく言えば、映画監督みたいな感じでしょうか。演技はできない、カメラのピント合わせも苦手だけれど、「こんなイメージ」というものをみんなに示して巻き込みながら、ビジネスとして着地させていくことをやっている気がします。

スマイルズ代表取締役社長 遠山正道 
スマイルズ代表取締役社長 遠山正道 
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、三菱商事入社。99年「Soup Stock Tokyo」開業。翌年、三菱商事初の社内ベンチャー企業としてスマイルズを設立し社長に就任。18年、アートと個人の関係をテクノロジーで変革する「The Chain Museum」を設立。アーティストとしては96年の代官山ヒルサイドテラスでの個展を皮切りに活動を開始。2021年は東京ビエンナーレに作家として招へいされた

―― スマイルズとしては、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015、瀬戸内国際芸術祭 2016に作品を出展。2021年夏には、東京ビエンナーレに遠山さん個人が作家として招へいされています。アーティスト活動がビジネスに影響を与えることはありますか。

遠山 影響というか……そもそも、アートはビジネスではありませんが、ビジネスはアートに似ていると思うんですよね。

 最初に「こんなものを作りたい」という発意があって、手を動かして制作し、いかがでしょう、と世の中に問うのがアートの世界。ビジネス、あるいは起業も思い付いたスタイルや事業があって、うまくいけばこんな世界が実現できると考えて、自分で社会に提案していくわけです。

 アーティストがマーケティングをして、「アンケートの上位に挙がったものから順に描きます」なんてあり得ないじゃないですか。ビジネスだとどうしてそうなっちゃうんだっけ、と思うんです。売りたいという1点にとらわれすぎてしまっています。

 会社における売り上げや利益は、車におけるガソリンみたいなもので、それがないと走れないから、とても大事です。けれど本来、車は「誰を乗せてどこに行って何をするか」という目的を果たすためにあるもので、ガソリンはそのためのツールですよね。

 マーケティングをすると、ガソリンをいかに簡単に安く仕入れるかみたいなところに終始してしまう。だからスマイルズでは従来型のマーケティングをしないと決めています。社会に必要だと思うものを作っていく。カッコよく言えば実現したい社会みたいなものがあるなら、売れるか売れないかがすべてではない。もちろん売れないと困るんだけれど(笑)。

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