2025年、すべての団塊の世代が後期高齢者に。大量のARIA世代が、親世代の介護に直面する日が間近に迫っています。「仕事と介護の両立」は大きな社会課題。しかし多様な制度や働き方が、選択によっては両立を阻む落とし穴になることも。「まだ先」と思っている人こそ今すぐ始めるべき準備があります。知らないと致命的な介護の常識、両立の時間管理術、介護にかかるお金……専門家や介護経験者の実例を元に、すぐ役立つ情報をまとめました。

 企業の働き方改革を支援するクロスリバー代表の越川慎司さんは、両親の介護に長年関わっている。20年前から遠隔で介護をしながら仕事をこなし、緊急入院した両親の看護に駆け付けることもあった。

クロスリバー代表の越川慎司さん。国内大手通信会社に勤務し、ITベンチャー起業を経て2005年に米国マイクロソフトに入社。日本マイクロソフト業務執行役員としてPowerPointやOfficeビジネスの事業責任者を務めた後、2017年より現職。700人ほぼ全員がリモートワークをしているキャスターの執行役員も務めている
クロスリバー代表の越川慎司さん。国内大手通信会社に勤務し、ITベンチャー起業を経て2005年に米国マイクロソフトに入社。日本マイクロソフト業務執行役員としてPowerPointやOfficeビジネスの事業責任者を務めた後、2017年より現職。700人ほぼ全員がリモートワークをしているキャスターの執行役員も務めている

介護中でも仕事もプライベートも諦めない

 越川さんが経営するクロスリバーは「完全リモートワーク」「週休3日」を掲げ、メンバー全員が実践している。それは越川さんの介護だけのためではない。「企業の成長」と「社員の幸せ」の両立こそ、働き方改革で目指すべきゴールであると信じているからだという。

 越川さん自身も「週休3日」で働き、介護以外にも趣味やインプットの時間も充実させているという。趣味のトライアスロンのためにトレーニングする時間と読書の時間は必ず確保し、大学で教えたり、逆に学んだりすることもある。会社経営に介護、趣味、学び、一体これらをどうやってこなしているのか。

 「介護のために時間を削ると考えている人も多いかもしれませんが、カリカリせずに介護と仕事を両立させるためには、時間と精神の余裕をつくることが大切です。私も仕事と介護と学びばかりではなく、自分の喜びのためツーリングにも行きたいし、フルーツパーラーにパフェも食べに行きたい。そのためには、まず無駄なものをやめて、新たに時間を生み出す必要があります」