2025年、すべての団塊の世代が後期高齢者に。大量のARIA世代が、親世代の介護に直面する日が間近に迫っています。「仕事と介護の両立」は大きな社会課題。しかし多様な制度や働き方が、選択によっては両立を阻む落とし穴になることも。「まだ先」と思っている人こそ今すぐ始めるべき準備があります。知らないと致命的な介護の常識、両立の時間管理術、介護にかかるお金……専門家や介護経験者の実例を元に、すぐ役立つ情報をまとめました。

 いつか来るかもしれない。いや、来る可能性はかなり高い。でもそのときどうなるかは、来てみないと分からない。……「介護(多くの場合は、親の)」を考えたとき、40代、50代の人の多くはこう思うのではないだろうか。記者もその一人だ。

すべての団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」

 「2025年問題」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。1947~49年生まれの「団塊の世代」がすべて、75歳以上の「後期高齢者」に突入するのが2025年。75歳を過ぎると多くの人がいわゆる「健康寿命」を迎え、要介護となる度合いが急激に高まる。その子世代である40~50代の現役世代が大量に親世代の介護問題に直面することが確実視されている。

 ところが、たとえ現在、親が元気であったとしても、ARIA世代の介護問題は既にスタートしているのだという。

 「75歳よりも手前の5~10年間をどう過ごしていたかで健康寿命は大きく変わります。フレイル(加齢に伴う心身の活力の衰え)でじわじわと弱ってしまう前に介入できるかどうかが重要です。

 あるいは突然倒れて要介護に突入することもあり、そのときにパニックにならないためにも事前準備は重要。これら2つの意味で、介護問題は既に始まっているといえます」(仕事と介護の両立コンサルティングや研修を行う、リクシスの佐々木裕子社長)

仕事と介護の両立が不安…なのに丸腰

 仕事をしながら介護をしている人は全国で約346万人。さらに、介護・看護が理由で過去1年間に離職した人は9万9000人(共に総務省・平成29年就業構造基本調査)。まだ直面していなくても仕事と介護の両立ができるか不安を抱えている人は多いはず。だが佐々木さんは、働く人の意識と現状に大きな課題があるという。

 「仕事と介護の両立はすごく不安だと皆さんが言うのですが、ではそのための準備はというと『何もしていない』方がほとんど。丸腰なんです。『両立はたぶん難しい、でも先であってほしい。他に優先度の高いことがあるので今すぐ準備もできない』という心理状態でしょう」

 介護の専門家や介護経験者が口をそろえて言うのが「事前に分かっていたり、準備しておいたりすることで、いざというときの状況が全く違う」ということ。「介護中の方に対する当社の調査でも、『仕事と介護を安定して継続できている』方と『結構つらい状況』の方とに大きく二極化しています」(佐々木さん)という。

 その状況を分けるのは、両立についての事前のリテラシー(知識)、そして介護を受ける(親などの)側との事前準備だ。

 まず、私たちは介護についてどの程度、準備的な知識があるだろうか。それぞれの設問に「○」か「×」かで答えてみてほしい。正解は次のページで。