リモート環境で仕事をすることが「新しい日常」になって1年近くたちました。直接顔を合わせずに打ち合わせをしたり、マネジメントしたりすることにも慣れたからこそ、コミュニケーションの質をもっと上げたいと感じる場面も増えてきたのではないでしょうか。ビデオ会議での印象をアップするコツやリモートでのチームマネジメント術、効果的なプレゼン方法など、テレワーク時代ならではの「伝える」テクニックをその道のプロに学びます。

 Web会議やチャットといったITツールは、今やチームで仕事を進めるのに欠かせない存在です。とはいえ、「いろいろ使ってはいるけれど、やっぱりテレワークは対面に比べるとコミュニケーションが取りづらい……」と感じている人もいるのではないでしょうか。

 「最先端のITツールは使い方次第で、リモート環境のハンディを解消し、生産性もコミュニケーションの質も従来以上に高めることができる」と話すのは、イーディーエル代表取締役の平塚知真子さん。平塚さんはGoogleが自社サービスの活用に精通し、専門的能力開発を担える人材をパートナー認定する制度において、最高位の肩書を2つ保有する「日本で唯一の女性トレーナー経営者」です。ITツールの力を最大限に生かす「リモート仕事術」について、平塚さんにお話を聞きました。

リモート環境では視覚情報の減少がストレスに

 Googleといえば、フリーメールのGmailやメモツールのGoogle Keep、クラウドサービスのGoogleドライブなどがおなじみですが、ブラウザー経由でいつでもどこでも使えるGoogleの無料サービスはその数60以上。いずれも組織のコミュニケーションやコラボレーションといった場面で強みを発揮するよう設計されているのが特徴で、平塚さんはこれらのサービスを組み合わせて情報共有をスムーズに行い、生産性を向上する方法を企業や教育現場で指導しています。

 今、企業研修などの際に寄せられる声を通して感じることとして、「リモート環境でコミュニケーションが視覚情報に頼れなくなったことがストレスになっている」と平塚さんはいいます。

 「人間は視覚から得る情報が8割といわれていますが、Web会議では小さなモニターのサイズでしか情報が共有できません。隣にいれば表情やリアクションが分かるけれど、オンラインではそもそも自分の発言が他の人に受け入れられているかどうかもつかめない。また、議論が活発になって発言が誰かとかぶるとばつが悪いし、Wi-Fiの調子が悪くて大事なことを聞き逃すと置いてけぼりにされてしまいます」

 では、そうした問題はどのように解決すればいいのでしょうか。

 「視覚から得られる情報量が圧倒的に減ってしまった以上、別の方法で補う必要がある。私は会議では積極的にチャットツールを活用したほうがいいと思っています