新型コロナ禍のために家で過ごす時間が増え、ほとんどの人が運動不足を実感しているでしょう。「食べる量を減らして調整しているから大丈夫」というあなた、実は筋肉量が減っている可能性があります。ボディーラインが崩れるだけでなく健康面でも心配な「危険な筋肉不足」、今すぐなんとかしましょう。

 2020年4月7日、日本で初めて緊急事態宣言が出されてから、10カ月がたちました。コロナ禍による外出機会の激減やテレワークの浸透により、家にこもる時間は長くなり、運動量は減る一方。誰もが体形の崩れや、体力・筋力の低下を実感しています。そこで、パーソナルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに、筋力の低下が体形や健康に及ぼす影響、そして効果的なボディーメイクについて伺いました。

コロナ禍で2~3kgの筋肉が失われている?!

―― この1年間、家にこもる時間が多くなり、筋力の低下や体形の崩れを実感する女性が増えています。どうしたらこの危機から脱出できるのでしょう?

中野ジェームズ修一さん(以下、敬称略) ショックですよね。太ってしまうのは筋肉量の低下が原因なんです。そこで、まずお伝えしたいのは、下半身さえ鍛えていれば、年代に関係なくある程度の体形は維持できる、ということです。

 体形を維持するためには、基礎代謝を維持することが重要です。そして、基礎代謝を上げるには、エネルギーを最も消費する器官、筋肉を増やすことが必要。ですから、全身の筋肉の6、7割が集まっている下半身を集中して鍛えることで、体形を維持できます。

 実はコロナ禍で、何の対策も講じていない人には、2~3kgの筋肉が落ちたという人も多いのです。体重は1㎏しか増えていなくても、筋肉が2㎏落ちていたとしたら、相当量の体脂肪が増えていると考えられますよね。

 筋肉量が1kg落ちると約50kcalの代謝量が落ちます。つまり2~3kgの筋肉が落ちた人は、以前と同じ食事量でも、日々100~150kcalの摂取カロリーが体に蓄積されているということです。100kcalは、ご飯に換算すると茶わん半分程度。これでは太ってしまうのも当然です。

 また、下半身の筋肉量が減少すると、少ない筋肉で体を動かすことになります。すると、疲れやすくなり、ますます活動量が減ってしまう。加えて、足元にたまった体液を心臓に押し戻す力が弱くなり、むくみやすくもなります。

 トレーニングは全身をバランスよく鍛えましょう、というのがセオリーです。しかし、筋トレが好きではない人に、教科書どおり、何十種類ものトレーニングをやってください、と言っても続きませんよね。ならば下半身を鍛えることに集中し、しっかり筋肉をつけていく。これだけで、基礎代謝が上がり、活動的になり、むくみも軽くなる。すると、消費カロリーは確実に上がり、太りにくく、やせやすい体になります。