忙しいから、お金はできるだけ手堅くためてきた。というかある意味放置してきた。でも気付けば、人生後半戦を支えてくれるはずの自分の「資産」、これで大丈夫なのかと不安になりませんか。ARIA世代がこれから投資で増やすことはできるのか? マイホームは「不良資産」にならないのか? 続けていい保険、見直すべき保険は…? 投資初心者に向けた資産の見直し特集です。

 条件とタイミングが合い、思い切って買ったマイホーム。気に入っているのでずっと住むつもりではあるが、最近ふと「この先」も考える。早めのライフシフトで地方に移住したり、老後にもっと便利なところに引っ越したりする場合、いつか売ることがあるかもしれない。

 かつては買えば安泰と思われていたマイホーム。今でも確かに「資産」ではあるが、人口が減少していく時代に家は余り、持っているだけで損をする「負動産」が増えるという話も聞く。マイホームの資産価値はどう考えたらいいのか。そして、売るとなったときに損をしない「出口戦略」はあるのだろうか。不動産を働かせるプロ、姫野秀喜さん(姫屋不動産コンサルティング代表)に投資家目線から教えてもらいました。


―― 今回の特集「銀行預金に貯蓄型保険…昭和の香りの安全資産で大丈夫か」では、資産運用の大前提としてまずマイホームを手に入れておけ、と教わりました。でもマイホームは購入金額が大きい上に、中古になるとだんだん価格が下がります。これから人口減で不動産の価値が下がっていくという話も聞きました。マイホームの資産価値ってどう考えたらいいんでしょうか。

姫野秀喜さん(以下、敬称略) マイホームに限りませんが、不動産の価値には2つの考え方があります

不動産の価値は「使用価値」と「交換価値」の2つの観点がある
不動産の価値は「使用価値」と「交換価値」の2つの観点がある

姫野 まず1つめが「使用価値」。経済学でよく出てきますが、それによって「効用」が得られる価値です。マイホームなら「衣食住」のうち「住む」という効用を得られます。立地、間取り、設備、周囲の環境など……住む人によって千差万別の要素から構成されます。

 もう1つが、一般に資産価値として分かりやすい「交換価値」。これはいわゆるリセールバリュー(再販価値)です。シンプルに、例えば戸建てなら「土地2000万円+建物1500万円で合計3500万円」などとなります。

―― 交換価値とは例えば「今いくらで売れるか」ということですか?

姫野 はい、交換価値は「今売った場合の価格」、これを今の資産価値と考えてもいいでしょう。

 ただし、マイホームの資産価値については注意すべきことが1つあります。新築のマイホームを買った場合、購入金額に資産価値が見合っていない場合が多いのです。もし購入金額目いっぱいに住宅ローンを借りると、買った瞬間に、資産価値を上回る借金(負債)が発生します。企業で例えるなら「債務超過」。倒産してもおかしくない状態です。

―― 新築でマイホームを買うと、債務超過!?