化粧品ビジネス、コスメを仕事にした経営者・社長に『etRouge』編集長・麻生綾がインタビュー。今回は「女性は、朝食を抜いても化粧なしで家を出ることはまずない。化粧品とはそれほど“心”に近い存在」と熱く語る、株式会社コーセー3代目の代表取締役社長・小林一俊さん。

「おまえの会社のポスターはイケてない」とひやかされ。

スポーツ一筋の学生時代から一転、社長業を「見て」学ぶ。

麻生(以下A) 創業者の孫としてお生まれになると、小さい頃から後継を意識するものですか?

小林さん(以下敬称略) そうですね。祖父から毎月の親戚の集まりのたび、会社の話を聞かされまして。長男だからいずれは……という雰囲気はありました。

A では幼少時代から帝王学を?

小林 いやいや、私は子どもの頃からスポーツばかり。小中とサッカーに明け暮れていたんですが、こっちのほうがモテるぞと先輩にそそのかされて、高校からはアイスホッケーを。

A 正しい動機です(笑)。

小林 かなり本気の体育会系で、サッカーは神奈川県の決勝まで行き、有名校からスカウトもありました。アイスホッケーでは国体にも出場したんですよ。大学2年まで夢中でしたが、ふと、このまま脳みそまで筋肉になるのはマズいぞと考えまして。3年からは真面目にマーケティングのゼミに。気づくのが遅いのですが(笑)。

A 卒業後はどちらかで修業を?

小林 当時はバブル期で就職も売り手市場だったし、金融関係や商社で経験を積んでから自社に入りたいと抵抗したのですが……。

A いきなりコーセーに入社!

小林 私が入社した86年は創業40周年で、45周年を目標に会社全体を見直す計画があったため、父たちは少しでも早くと思ったみたいで。当時社長だった祖父から父へ、バトンタッチするところにも立ち会わせたかったのでしょう。

A 結果的にはよかったですか?