「etRouge」創刊以来の人気連載をweb版にて再録。化粧品ビジネス、コスメを仕事にした経営者・社長に「etRouge」編集長・麻生綾がインタビュー。今回は“ベンチャー企業スピリット”で、ロート製薬の化粧品事業参入を大成功させた、山田邦雄代表取締役会長兼CEO。

「うちの経営者は代々、想定外のことをする人たちでして」

宇宙や生命の謎に興味があり、物理学の道へ進みたかった学生時代。

麻生(以下A) 幼少期のお話をお伺いしたいです。ご兄弟は?

山田さん(以下、敬称略)妹が一人います。

A  創業家の長男として生まれると、小さい頃から後継者だと意識されるものですか?

山田 僕は4代目になるのですが、子どもの頃に父親からそういう話をされたことはほとんどなかったですね。どちらかというと影響を受けたのは祖父でしょうか。祖父は若い頃に病気をし、体が弱かったのですが、とてもユニークで。私財を投じて会社の敷地内にスイミングクラブをつくり、「オリンピック選手を育てるんだ!」と熱中したり。いろいろな話を面白く聞いていました。

A  実際、山田スイミングクラブは金メダリストを輩出されたとか!魅力的なおじい様から学ばれたのは、どんなことですか?

山田 それはやっぱり“人と違ったことをやれ”じゃないですかね。今考えたら、僕のビジネス哲学の柱になっているような気がします。

A A 学生時代はどんな勉強を?

山田 物理学者だった叔父の影響を受け、宇宙や生命の謎に興味を持ったので、物理学を。しかし、学者になるほどの才能はなかったようで(笑)。結果的には、マーケティングや経営の道を選びました。だけど、物理学への好奇心は僕の原点かもしれません。