化粧品の作り手として、また売り手として、一人でも多くの女性にその魅力を伝えたいと心血を注ぐ愛すべき経営者たち。原点にある情熱、面白さと難しさ、思い描くビジョンまで、『etRouge』編集長の麻生綾が、思いつくままにインタビュー。今回は、悩める肌に寄り添うスキンケアと、トレンド感のあるミネラルメイクが絶好調のETVOS(エトヴォス)を率いる尾川ひふみさんを直撃。成功の鍵を握る天才型オタク気質とは──?

原点にあるのは大人ニキビに悩んだ経験。

OL時代にパソコンと出合い、眠っていたオタク魂が覚醒!

麻生(以下A)まず、プロフィールがユニークで興味津々でした。プログラマー、WEBデザイナーという技術畑から、化粧品業界へ。もともと理系なのですか?

尾川さん(以下敬称略)いえ、ごく普通の学生でした。氷河期で就活が思ったようにいかず、事務職OLにすべり込んだだけで。

Aどこから普通じゃなくなったのでしょう?(笑)

尾川作業用に会社からパソコンを与えられたんです。まだウィンドウズ3・1の時代。それがとにかく楽しくて、夢中になりました。これからはパソコンの時代だと確信し、「私はこれでメシを食っていきます!」と宣言。プライベートでもパソコンを自作して、自宅でサーバーを立ち上げたりしていました。

A眠っていた才能が目覚めた。

尾川何かを一からつくる作業が好きみたいで。オタク気質なんです。その会社が副業OKだったので、18時〜22時まで印刷会社でアルバイトをしながら印刷技術を覚え、フォトショップやイラストレーターも使えるようになりました。

A習うより慣れよ、ですね。

尾川その後、プログラマーになってPC言語を学び、次はWEBデザインを。環境に飛び込んじゃうほうが、習得が早いから。

Aお金をもらいながら次々とスキルを身につけてステップアップ。実に無駄のない人生(笑)。でも、そこからどうして化粧品を?

尾川26歳頃、ニキビに悩まされまして。オタク気質で原因と対策を調べまくり、治すためにトライ&エラーを繰り返しました。その集めた情報を、サイトを立ち上げて公開していたら、アクセス数がどんどん伸びて人気サイトに。