化粧品の作り手として、また売り手として、一人でも多くの女性にその魅力を伝えたいと心血を注ぐ愛すべき経営者たち。原点にある情熱、面白さと難しさ、思い描くビジョンまで、『etRouge』編集長の麻生綾が、思いつくままにインタビュー。今回は、日本の美容文化の発祥ともいえる資生堂の代表取締役に就任して4年目の魚谷雅彦さんを直撃。真のグローバル化を目指す「構造改革」の根底にあるものは……?

社⻑も役員も「偉い」わけじゃない。役割が異なるだけ。

麻生(以下A)4年前のアルティミューンの発表会で、就任のご挨拶をされましたよね? コカ・コーラなど、バリバリの外資系企業ご出身の魚谷さんなので、あ、資生堂はこれから外資系になっていくんだ......と、不思議な気持ちになったのを覚えています。

魚谷さん(以下敬称略)あれは私が入社して1週間めでした。

Aところが、今回お会いするにあたり、過去記事などの資料に目を通したのですが、まったくそうじゃないと気付きまして。魚谷社長は実は誰より「日本好き」。10月から社内の公用語は英語になるそうですが、そんな施策も、大好きな日本がこれからいかにして世界で互角以上に戦っていくかを考えての戦略の一環なんだなと。

魚谷そうです。ベースのバリューは、日本なんですよ。

A大学では経済ではなく、英文学を専攻されていたのですね?

魚谷はい。英語教育が充実していたカトリック系の高校で英語に目覚めました。大学卒業後は世界を股にかける仕事がしたかったのですが、総合商社に問い合わせると、文学部の学生は採らないと。景気が低迷し、思うような就活はなかなか難しい時代でした。