化粧品の作り手として、また売り手として、一人でも多くの女性にその魅力を伝えたいと心血を注ぐ愛すべき経営者たち。化粧品ビジネスを選んだ背景から、原点にある情熱、面白さと難しさ、思い描くビジョンまで『etRouge』編集長の麻生綾が、思いつくままにインタビュー。今回は、SUQQUとRMKという人気ブランドを擁する株式会社エキップの社長、前澤洋介さんを直撃。

ブランドがなくなる? やめていた煙草が復活するほどの挫折体験

学級委員で四番バッター。自信満々の子ども時代。

麻生(以下A)まずは時間を巻き戻して、子どもの頃のお話から。どういうお子さんでした?

前澤さん(以下敬称略)小学生の頃は野球少年。四番バッターで、自分を中心に地球が回っている、というような根拠のない自信がどこかにありましたね。勉強もトップとは言わないまでも、そこそこできて、2〜6年生まで学級委員、学芸会では監督や主役、謝恩会で司会をやったり。

Aわ、なんか似ています(笑)。私もずっと学級委員でした。

前澤ところが中学に入るとすごいやつがいっぱいいて、自分を客観視できるように。高校時代は人生の中で一番おとなしかったかな。中学で野球と並行してバンド活動を始め、高校はバンドだけ。

Aなんとそこも一緒。私もその頃は野球と音楽をひたすら愛していて。観る側ですけどね。もう、お話を聞かなくても通じ合える気がします(笑)。バンドは何系の音楽を?

前澤中学はビートルズバンド、高校ではフュージョン系。大学では伝統のある軽音楽部に入り、アメリカやイギリスの女性ボーカルバンドのコピーを中心に。バンドとバイトに明け暮れる日々でした。

Aちなみにご専攻は?

前澤社会学部で産業心理学を。

Aそして就活。やりたい仕事は決まっていたのでしょうか?

前澤重厚長大な世界には興味がなく、身の回りの日常のものを扱う会社がいいな、と思っていました。食品とか下着メーカーとか。

A柔らかい、というか女性的?

前澤実は、高校までは女性としゃべるのが苦手だったんです。姉がいて女性慣れしているはずなのに。大学で、やっと少し慣れまして。

Aカネボウは、意中の会社だったんですか?

前澤当時のカネボウは、ペンタゴン経営で、繊維、化粧品、食品など事業内容も幅広かったので、面白そうだな、と。