化粧品の作り手として、また売り手として、一人でも多くの女性にその魅力を伝えたいと心血を注ぐ愛すべき経営者たち。原点にある情熱、面白さと難しさ、紆余曲折から思い描くビジョンまで、『etRouge』編集長の麻生綾が、思いつくままにインタビュー。今回は、伝統と革新をテーマにエレガントな美をクリエイトするビューティメゾン、ゲランの美肌社長、木村美也子さんを直撃。

ちゃきちゃきの下町育ちが華やかな世界に憧れて。

麻生(以下A)外資系のトップの方で留学や海外生活経験がないのは珍しいような。ご出身は?

木村さん(以下敬称略)東京です。入谷の鬼子母神付近で、ちゃきちゃきの下町っ子ですね。公立高校から青山学院大学の英米文学科へ。

美容が身近にある環境だったのでしょうか?

木村母は元看護師で化粧をしない人だったのですが、化粧好きだった叔母の影響でしょうか、化粧で変わる顔というものに興味津々で、いつもジッと見入っていました。あ、弟にKISSのメイクはしましたね(笑)。

子どもの頃は、何になりたかったのですか?

木村キャビンアテンダントや外交官。下町育ちだったからか、将来はきらびやかな世界に、と思っていた気がします。大学生になったのがちょうどバブルの終わり頃。休講のたびに六本木で遊び……。

なんだか華やか(笑)。その頃は就職も売り手市場でしたか?

木村いえ、女子学生は就職難でコネがないと大手は難しい時代。縁あって、小さな代理店を兼ねた広告プロダクションに入社し、自動車関連の国際局に配属されました。でも私、英語は読めるけれど、全然話せなかったんです。

え? どうやって克服を?