数を数える時に「ひとつ、ふたつ、いっぱい」と言う民族がいますよね。老子の一節にも、「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず」とあります。

 つまり、サードプレイス以上は、限りなく開かれたもの。 そこで、サードプレイスをもう一つの世界とは考えずに、「いっぱい」と考えてみます。さあ、ここからサードプレイスは、もろもろのプレイスです。

サードプレイスは、苦手なことをやらない

 もろもろのプレイスを得るために、僕が考えるのは、まず苦手なものはやらない、頑張らないという選択です。

 僕は神話などを上演する一座を主宰していますが、必ず遅刻するメンバーがいるんです。どのくらい遅刻するかというと、新幹線に乗る時間に目を覚ます。彼女は、大きな商社に勤めているんですが、入社試験も忘れていたそうです。会社から電話があり、その日最後の面接に入れてもらい採用された。こうなると、彼女に時間通りに来なくちゃダメだって言うほうが間違いでしょう?

 うちの一座では誰も遅刻を責めないことになっています。本番に誰かが間に合わなければ、直前に台本を書き換えればいい。お客さんには分からない。

 彼女にとっては、遅刻も天命の一つ。「時間通り」が苦手な彼女は、それを克服しようと頑張る必要はなく、それでOKな場を選べばよいのです。

得意なことがすくすく育つ場所を確保する

 そんなことを言うと、でも彼女には遅刻が許されるような何か得意なことがあるからでしょ? って思う人がいるかもしれない。

 でも、それは別の話。得意なことは別になくていい。まだ見つかっていないだけのことですから。苦手なことをさっぱりやめると、穴ができます。穴に「工」を付けると空になります。空間が広がり、その穴から新しいものが入ることができる。得意なものがすくすく育つ場所が確保できるのです。