女性活躍推進やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)がゆっくりとしか進まない日本社会において、考え方や発する言葉がキラリと輝く男性リーダーがいます。ARIA編集部員が心をつかまれた言葉をピックアップしながら、彼らの価値観に迫ります。

混迷する時代、どんな価値観に基いて行動するか

 40代、50代になると「何か他に自分にすべきことがあるのではないか」「定年まで必死に働いたとして、その先は」とキャリアに迷いが生じることがあります。その疑問に、男性リーダーたちがいろんな角度からヒントを与えてくれます。

僕がNPOの相談に乗ったり、手伝ったり、毎年継続的に寄付をしたりしているのは、NPOのリーダーたちの社会を変えるビジョンと力に共感して協力したいと思うから。だけど、将来の世代により良い社会を残したいという、ペイフォワードの気持ちもあるんだよね。そのペイフォワードをするのは感謝の気持ちからです。僕がここまで来るには、とても多くの人の助けや導きがあったわけで、それを、後の世代の人たちにお返ししたい。社会のためにいいことであれば、会社の名前を出してやることに何の躊躇(ちゅうちょ)があるのかと思うし、どんどん出て行ってやればいい。


安渕聖司(アクサ・ホールディングス・ジャパン代表取締役社長兼CEO)

安渕社長&紫乃ママ 革新は辺境から、女性もまだ辺境!


まずは今の自分の仕事が「誰にどういう価値を提供しているのか」を考えるのが大事だと思います。特にお客さんと接することなく、上司に言われた仕事をメインでやっている人は、自分の仕事の価値を洗い出したほうがいい。


仲山進也(仲山考材代表取締役、楽天グループ 楽天大学学長)

「組織のネコ」って? 会社に所属し他流試合で成長する


ハイレベルにできる子がいるのももちろんいいことですが、のんびりやる子も、本人が楽しければそれはそれでいい。いろんな子がいられる多様性は残しておきたいです。


菊川穣(一般社団法人エル・システマジャパン代表理事)

「困難を抱えた子」だけを支援の対象にしないことが大事


例えば、被災したり、何かの被害にあったりして困っている人に対して、助ける手段を持っている人は、それを提供する。けれど、解決策を持っていない人で、不安にさらされてしまった人は「自己責任だ」などと言って、被害者を攻撃するようになります。だから、「自分が世の中を変える力がある」と感じること、変えるための選択肢はこれとこれがあると知っていることは、とても重要なんです。


荻上チキ(評論家)

荻上チキ 調査で社会を動かす「チキラボ」を始めた理由


ビジネスマンは基本的には請負業。会社の部署や上司と共に毎日分刻みで仕事をする団体戦ですから、個人で自分は何を表現したいんだっけ? と考える必要も余地もない。でも人生100年時代に、60歳になったら団体戦からも外れて「ここから先は勝手にどうぞ」と言われるわけですね。そこから自分が何をやりたいんだっけと考えるのはかなり大変です。二刀流で複業や社外のプロジェクトで動くクセ、自分が主体となって考えて一歩踏み出すクセをつけておいたほうがいい。


遠山正道(スマイルズ代表取締役社長)

スマイルズ遠山 アートと二刀流で目指す“新種の老人”


子どもたちが独立した今、私と妻が生活していくのに必要なお金って、ぜいたくしなければ年間200万円くらいです。年金はそれ以上もらっているから困りません。おいしいものも散々食べたし、海外にも行った。自分たちのために何かすることってもうないから、この先何十年かは人が喜ぶことのために生きるしかないんです。立派なことを言うつもりなんて全然なくて、放っておいたら本当にやることがないんですよ。


蓑田秀策(一般財団法人100万人のクラシックライブ代表理事)

一線を退く50歳からの生き方が「人生の豊かさ」決める