50歳が人生の折り返し地点に過ぎなくなった今、定年後の60代からをどう生きるかはARIA世代の大きな関心事です。新たなキャリアを模索したり、誰かの役に立つ道を見つけたり、好きなことにまい進したり……。すてきな先輩たちを紹介します。
運命のパートナー、自由な暮らし…ごほうびが待っていた
この先がどうなるか不安や心配ばかりが大きくなってしまうと、なかなか一歩が踏み出せません。目の前のことに夢中で取り組んでいたら、思いがけない出会いや展開が待っていた。そんな風に振り返る先輩女性の言葉を知ると、未来への過剰な心配を一旦横に置けそうです。
同時に、2つのことは手に入らないものなんでしょうね。それが人生のケジメというもの。はたから見ると、私は人生をうまく渡っているように見えるかもしれません。欲張りで、欲しいものは何でも手にしていると感じる人もいるでしょう。でも、実際には、常に一つのことに丁寧に取り組んできました。
平野顕子(「松之助」オーナー)
女性は年を重ねるにつれて、どんどんたくましくなって、突破力も強くなる。いわゆる「おばさん力」がついてきますよね。さすがに30代でおばさんって言われたらショックだけど、もう50歳、60歳過ぎて、れっきとした「おばさん」として自分を認めてしまったら怖いものはありません。「私はもうおばちゃんなんだ」って思うと、無駄な見えを張らなくなるから不思議です。水着になったのも、「おばさん力」のなせるワザかなと(笑)
宮崎美子(女優・タレント)
大好きだった校長に「教師を辞めて俳人になります」と、たんかを切っちゃった。めどもないし当てもありませんでした。ただ、好きな仕事から離れるためには、「踏み切り板」が必要だったんです。俳句じゃなくてもよかったんですよ。でも、ほかに「踏み切り板」が見つからなかったから「俳人になる」と言い切りました。
夏井いつき(俳人、俳句集団「いつき組」組長)
(夫と別居した40代、専業主婦から化粧品メーカーのルートセールスになった直後は)20~30代の男性営業職ばかりの中、たったひとりのおばさんでした。「女性にしかできないことを」と言われて何でもやりました。店頭でのサンプリングやお肌診断をやってみたり、ドラッグストアの片隅にエステコーナーを設置したり。最後はエステティシャンの資格まで取得しました。
ショコラ(ブロガー)
20年くらい前、秋元康さん(作詞家、プロデューサー)と対談したときに「40代になると『初めて』がなくなるよね」という話をして盛り上がったんです。(中略) でもね、60代になるとまた出てくるんですよ。「初老眼鏡」とか「初孫」とか「初介護パンツ」とか。(中略) そろそろ「初ウィッグ」にも興味あります(笑)。新鮮な世界が広がっているから、「ARIA読者の皆さま、どうぞお楽しみに」と言いたいですね。
柴門ふみ(漫画家)