世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

無数のSNSの画面が真っ黒に

 2020年5月25日、米国中西部のミネソタ州ミネアポリス市で、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件は、映像がSNSで拡散されて大きな波紋を広げた(『Black Lives Matterが急拡大した理由』)。そして6月2日火曜日、無数のSNSの画面が真っ黒になった。これは、音楽産業の掛け声で始まった「#BlackoutTuesday」というキャンペーンだ。SNSの画面を黒くするだけではなく、「この日は経済活動を止め、今起きていることに真剣に意識を向けよう」という意図だった。世界中で約2500万のSNSユーザーたちが#BlackoutTuesdayというハッシュタグで賛同を表明、その中には数多くの企業も含まれていた。

 日本の企業ではユニクロ、サンリオ、トヨタ自動車などの米国法人が名を連ねた。

6月2日「#BlackoutTuesday」キャンペーンはSNSで多くの賛同を得て、瞬く間に世界中に広まった(写真:AFP/アフロ)
6月2日「#BlackoutTuesday」キャンペーンはSNSで多くの賛同を得て、瞬く間に世界中に広まった(写真:AFP/アフロ)

 Blackout Tuesday にとどまらずこの事件への企業の反応は、これまでに起きた人権問題に対するそれとは、業界の幅広さ、寄付の金額、メッセージの強さにおいて一線を画する。金融、テクノロジー、ホテル、ファッション、化粧品、食品に至るまで、実に幅広い業界の企業が「我々の会社は人種差別を許さない」「私たちは今後こうして人種差別をなくす努力をしていきます」と声明を発表している。大学などの教育機関、美術館なども、そうだ。加えて、スポーツジムやレストラン、近所のワインショップまでが、メールで自分たちの信念や覚悟をうたったメッセージを送ってくる。マーケティングと言ってしまえばそれまでだが、今メッセージを出さないという選択肢はない、という感じだ。