世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

 ニューヨークの新型コロナウイルスによる死者数は、2020年5月末にやっと落ち着き、6月8日から経済再開の第1段階(製造業、建設業、小売り一部などに限定)となった。しかし、その明るいニュースと時を同じくして、ニューヨークでは「Black Lives Matter(黒人の命も大切。以下、BLM)」の抗議活動とそれに便乗した暴動が本格化し、再びざわざわした日々が始まった。発端は、5月25日、米国中西部のミネソタ州ミネアポリス市で、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警察官に首を押さえつけられて死亡した事件だ。映像がSNSで拡散されて、大きな波紋を広げた。

 この記事を書いている6月17日の段階では、暴動はすっかり治まったが、デモはまだ1日に何度も行われている。大多数は平和的で真剣なものであり(マスク着用率もとても高い)、若者たちが中心だ。白人やヒスパニック、アジア人の姿も多い。週末には、子連れの家族向けのデモもある。

ワシントン・スクエア公園では毎日のようにデモが行われている(写真:Yumi Matsuo)
ワシントン・スクエア公園では毎日のようにデモが行われている(写真:Yumi Matsuo)

警察の暴力はこれまでも問題になってきた

 黒人に対する警察の過剰な暴力はこれまでにも数えきれないほど問題になってきた。米国に住んでいると、正直「数年に一度は起きること」という感覚が身に付いてしまうほどだ。今年に入ってからも2月と3月にそれぞれ、罪のない20代の黒人男女が1人ずつ警察の関係者により射殺されている。

 このような事件が起きるたびに、必ず抗議活動が起きた。今、世界中で盛り上がっているBLM にしても、昨日今日の話ではない。もともとは2013年、トレイボン・マーティン射殺事件の容疑者に「無罪」判決が下されたことをきっかけに、3人の黒人女性たちが始めた抗議運動が発端だ。2014年のマイケル・ブラウン射殺事件、エリック・ガーナー窒息死事件後の抗議運動によって、広く知られることになった。