世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

 新型コロナウイルスによる死者数は、全米で9万人を超えた(5月21日時点)。そのうち2万3000人以上がニューヨーク州内の死者だ(*)。ニューヨークでは、4月7日から11日まで毎日750人以上が亡くなっていた。その後、数は緩やかに落ちて、最近やっと1日当たりの死者数が200人以下の日が続くようになった。とはいえ、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は「まだ多い。200人亡くなったということは、200の家族が身内を失ったということだ」と警戒を怠らない。

(*)初期に検査を受けずに死亡した人数を加えて、ニューヨーク州の死亡者数を「2万8000人以上」とする機関もある

世論は「経済再開より、ウイルス拡散抑止を優先すべきだ」

 今、多くの州では、経済活動再開に向けて動きが本格化している。しかし、州によって感染規模に差があり、再開への姿勢は異なる。ロックダウンの解除や経済再開を求める市民によるデモが起きている州もある。失業者が爆発的に増える中(過去約2カ月で3600万件以上の失業保険申請が確認されている)、これ以上経済が悪化することへの懸念も強まっている。

 その一方で、68%のアメリカ国民が「自分の州は経済再開を早まりすぎているのではないか」と感じているという(Pew Research Center の世論調査)。さらに、ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの北東部3州では、71%の住民が「たとえ経済が悪化するとしても、新型コロナウイルスの拡散を抑えることが優先事項であるべきだ」と答え、75%の住民が「外出禁止令の解除の前に、もっと検査を増やすべきだ」と答えている。

ニューヨークの総合芸術施設「リンカーン・センター」も休業が続く。ブロードウェイの劇場は、さしあたり9月6日まで全面閉鎖。さらに延長される可能性もある
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