世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

 1月23日に中国・武漢が封鎖されたとき、誰が「2カ月後にアメリカの国境が閉鎖されることになるかも」などと予想できただろう。

 3月20日、ニューヨーク州アンドリュー・クオモ知事は、事実上の「外出禁止令」を発表。民間企業に、従業員の在宅勤務を義務付けた(医療機関、食料品店、銀行、報道機関などの業種は対象外)。欧州ではすでに多くの国境が閉ざされ、アメリカとカナダの国境も閉鎖された。19日には、アメリカ国務省がアメリカ国民に対し、国際渡航を控えるよう勧告。航空会社は多くのフライトの運行を停止している。

 アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所は以前、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的な流行、つまりパンデミックとなった場合、アメリカで最悪106万人、最善でも24万人が亡くなると試算した。ちなみに日本は、最悪で死者57万人、最善でも13万人と見積もられている。

 同研究所のリポートによれば、世界の総生産(GDP)は、最悪の場合9.2兆ドル、最善でも2.3兆ドルが失われるという。国別の損失は、アメリカが「最悪1.8兆ドル、最善4200億ドル」、日本は「最悪5490億ドル、最善1400億ドル」と予測されている。

街も人々の暮らしも、わずか数日で激変

 ニューヨークで最初の新型コロナウイルス感染者が見つかったのは3月1日、最初の死者が出たのが14日だった(18日時点では5人)。クオモ知事と、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、この間、日々変わる状況に合わせて、次々と新たな方策を打ち出してきた。その結果、わずか数日で、ニューヨークの街とそこで暮らす800万人の生活を激変させてしまった。

ブロードウェイの劇場街は、3月13日を境に火が消えたようになった
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 今、ニューヨーク州、そして、感染者が増えているワシントン州やカリフォルニア州が取り組んでいるのは、ウイルス拡散のスピードを落とすこと。重症者が一気に増えて病院に殺到すると、医療システムを崩壊させかねない。そのため、重症者が出るペースをできるだけスローダウンさせることが喫緊の課題というわけだ。