世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

 アメリカにとって、2月最初の日曜日は特別な日だ。毎年この日に、National Football League(NFL)の決勝戦が行われ、「スーパーボウル・サンデー」と呼ばれる。これは、アメリカ最大級のスポーツイベントと言ってよく、フットボールに関心もない(私のような)一般市民でさえ、アメリカに住んでいればいや応なしに覚えてしまう冬の風物詩だ。

「紅白歌合戦」に匹敵する冬の国民的行事

 試合は、東部標準時の18時半から始まる。この日は、自宅に友達を呼んで、チキン・ウイングとピザを囲んでゲームを見る人たちもいれば、バーに出かけ、大きなテレビのスクリーンに張り付いて、ビールを飲みながら、見ず知らずの人々と喜怒哀楽を共にする人たちもいる。いずれにせよ、この夜は「アメリカ中がテレビを見る日」なのだ。そこには、フットボールのファンでない人たちも数多く含まれる。日本で例えると、全盛時の『NHK紅白歌合戦』に似ているかもしれない。

スーパーボウルは約1億人が見るスポーツの祭典だ。写真:ロイター/アフロ
スーパーボウルは約1億人が見るスポーツの祭典だ。写真:ロイター/アフロ

 スーパーボウルの視聴者数は、少ない年でも8000万人以上、多い年は1億人を超える。ちなみに今年2月2日に開催された第54回目のスーパーボウルでは、約1億人。比較までに、今年のアカデミー賞授賞式の視聴者数は2360万人だったので、4倍以上の人が見たことになる。

 これだけ注目を集める国民的イベントは、アメリカ広しといえど、そうない。スーパーボウルの時間帯は、「1秒当たりのテレビCM料が世界で一番高い」といわれる。実際、流れるCMの多くは、有名な大企業がその年で最も多くの資金を投入して作った、気合が入った内容だ。メッセージ性、話題性の強いものも少なくない。「CMを見るためだけにスーパーボウルを見る」という人もいるほどだ。