世界の最先端を体感できる都市、ニューヨーク。この街に1996年から在住し、ビジネス・コンサルタントとして第一線で活躍する渡邊裕子さんの最新リポートをお届けします。

 ジョー・バイデン新大統領の就任式が事実上、観衆がいない「バーチャル就任式」と聞いたとき、筆者はさぞかし地味なものになるだろうと思っていた(「異例の大統領就任式。米国は白人至上主義と決別できるか」参照)。しかし、その予想は大きく覆された。観衆の有無にかかわらず、オンラインで配信された式が米国らしい巨大なショーであることに変わりはなかった。

 このたびの就任式は、カマラ・ハリス氏が「女性・黒人・アジア系で初めての副大統領」というだけで十分に歴史的だ。ガラスの天井を破った彼女の存在は、党派を超えて祝福すべきランドマークと受け止められていた。

 さらに就任式の1週間ほど前には、バイデン政権の閣僚候補の名前が出そろい、24人の候補は12人の男性と12人の女性、つまり男女比がぴったり半々だと発表された。これもまた、米国史上初めてのことだ。

 米国で女性が副大統領、財務長官、国家情報長官という要職に就くのも史上初。他にも、バイデン政権は史上初づくしで、黒人の国防長官、先住民およびLGBTQの閣僚、ヒスパニック系国土安全保障長官を指名している。

 閣僚候補のうち、6人が黒人、4人がヒスパニック、そして3人がアジア系。選挙公約である「今日の米国の多様性を反映した政権にする」が目に見える形で実行されているわけだ。

多様性を重視した新政権。女性たちが重要な役を果たす

 就任式でも、多様性を重視する精神は反映されていた。ハリス氏の就任宣誓を担当したのは、ソニア・ソトマイヨール氏。彼女は、バラク・オバマ大統領に指名されて、ヒスパニック系で初めて最高裁判事になった女性だ。二人の非白人女性が演壇に立つ姿は新鮮だった。これまでは白人男性同士の宣誓が当たり前だったからだ。彼女たち以外にも、今回の式典では、女性たちが重要な役を果たしていた。

ヒスパニック系初の最高裁判事ソニア・ソトマイヨール氏が、カマラ・ハリス副大統領の就任宣誓を担当した(写真:AFP/アフロ)
ヒスパニック系初の最高裁判事ソニア・ソトマイヨール氏が、カマラ・ハリス副大統領の就任宣誓を担当した(写真:AFP/アフロ)