覚悟を持って意志表示はすべき。それが後進の道を開く

―― ご自身でチャンスを広げてきた経験もあるのではないでしょうか。

田代 チャンスをつかみたいという意志を私が表明したときに、その意志を尊重し、受け入れてくれる上司がいたことがありがたかったですね。

 留学から帰ってきた後の面談で、「これからはアジアのマーケットが重要になると思うので、私はアジアに行きたいです」と伝えたとき、当時の上司が驚いた表情で「女性なのにアジアに行くの?」と言ったんですよね。おそらく、私がなんでも言いやすいオープンな性格だから、悪気なくそんな言葉が出たのだと思います。

 私はすかさず反応して「もしも女性だからという理由だけでアジアに行かせてもらえないのなら、私は会社を辞めます」と返したのですが、上司は私の思いの強さを考慮して、承諾してくれたんです。

―― そういった場面をなんとなく曖昧にやり過ごしてしまう女性は多いかもしれません。

田代 私にも「きっとこの上司なら分かってくれるだろう」という甘えもあったのでしょう。私のような言い方が必ずしもいい結果につながるとは思いませんが、自分のキャリアを前に進めるためには覚悟を持って意志を伝えなければいけないときもある。「言わなくても分かってほしい」ではダメで、きちんと伝えるべきですよね。これは男女問わず、意識したい点だと思います。

 私は決して道を切り開くような気持ちでやってきたわけではありませんが、個人が自分のキャリア形成のためにやりたいことを素直に伝える。その積み重ねが結果として後に続く人の可能性を広げることになるのではないでしょうか。

「前進するためには、覚悟を持って自分の意志を伝えるべきときもあるのです」
「前進するためには、覚悟を持って自分の意志を伝えるべきときもあるのです」