女性活躍推進に多くの企業が取り組む今においても、取締役に就任する女性はまだ限られた存在だ。トップを走る彼女らが、経営の中枢を担うまでにどのようにキャリアを磨き、どんな道のりを歩んできたのか、これから後に続く女性たちへのメッセージとともに、じっくり話を聞いた。

(上)大和証券・田代桂子 役員を目指そうとは思ってなかった ←今回はココ
(下)大和証券・田代桂子 「女性4人役員に」が会社を変えた

 第1回に登場するのは、大和証券グループ本社 取締役 執行役副社長の田代桂子さんだ。金融という男性中心の世界において、副社長の重責を担う彼女は、どのように実績を積み、信頼を築いてきたのか。「夢中でここまできた」と、これまでの道のりを振り返る。

大和証券グループ本社 取締役 執行役副社長 海外担当兼SDGs担当 田代桂子さん
大和証券グループ本社 取締役 執行役副社長 海外担当兼SDGs担当 田代桂子さん

マネジメントスキルは学んで獲得するもの

編集部(以下、略) 2019年4月に田代さんが大和証券副社長に就任したというニュースは、女性活躍の象徴として世間の注目を集めました。まずはこれほどの大企業で経営の中枢を担うに至った経緯について、あらためて教えてください。

田代桂子さん(以下、田代) こうやってあらためて自分の来た道を振り返ってみると、私は特に強い目標を持とうとこだわることなく、年齢もあまり気にせずに、ただ目の前の仕事に夢中で取り組んできたのだなと思いますね。「役員を目指そう」という意志も全くありませんでした。

―― 意外です。現在発揮されているリーダーシップを磨いた転機はいつだったのでしょうか?

田代 ビジネススクールで学んだときです。1988年に会社の海外留学生に選ばれ、翌年から米スタンフォード大学に留学しました。会社組織にとってリーダーのマネジメントスキルが重要であること、そしてマネジメントスキルは「学んで獲得できるものである」と教わったことが、私の意識を大きく変えてくれたと思います。

 ビジネススクールの有用性については賛否がありますが、間違いなく有用だというのが私の意見です。少なくとも私自身の視野ははるかに広がりましたから。