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ガラスの天井を越えて

味の素専務・野坂千秋 何のために働くのか悩んだ20代

(上)行き詰まりを感じた30代後半。上司の反対を押してイタリアで経験を積んだ


女性活躍推進に多くの企業が取り組む今においても、取締役に就任する女性はまだ限られた存在だ。トップを走る彼女らが、経営の中枢を担うまでにどのようにキャリアを磨き、どんな道のりを歩んできたのか、これから後に続く女性たちへのメッセージとともに、じっくり話を聞いた。

(上)味の素専務・野坂千秋 何のために働くのか悩んだ20代 ←今回はココ
(下)味の素・野坂専務 ロールモデルはパッチワークでつくる

 第2回に登場するのは、味の素 取締役 執行役専務の野坂千秋さんだ。研究職として商品開発部門をけん引してきた野坂さんはどのように実績を積み、経営の視点を身に付けていったのか。常に目の前の課題に誠実に向き合ってきた野坂さんのキャリアを振り返る。

味の素 取締役 執行役専務の野坂千秋さん
味の素 取締役 執行役専務の野坂千秋さん

明確な仕事観が持てず悩んでいた20代

編集部(以下、略) 売上高1兆円を超す食品メーカー、味の素で初めての女性役員に就任されました。これまでを振り返って、どのようにキャリアを積み重ねてきたか教えてください。

野坂千秋さん(以下、野坂) 私が入社したのは男女雇用機会均等法の施行前で、女性はお茶くみ、机拭きは当たり前の時代でしたから、スタート時点で思っていたキャリアとはだいぶ違っていますね。20代は正直、長く勤めるとは思っていませんでした。

 食が好きで、食に携わることを一生の仕事にしたいと思い、縁あって味の素に研究職として入社しました。人には恵まれましたが、明確な仕事観がないと長く続けられないことに気づき、悩んでいました。

 研究所はお客様と直に接するところではないし、チームの一員として言われた仕事をするのが前提。どういう期待値を持って仕事をすればいいのかと疑問を感じていましたが、30歳の頃、たまたま東京支社の営業をサポートする技術支援部門に1年間長期出張させてもらえました。

 そこで初めて、直接お客様から味の素への期待値を聞き、外から研究所を見る機会を得たのです。お客様の抱える課題を解決するために技術開発をして、課題を解決する商品を提供することによって初めて(価値を)買っていただける。その循環が見えた。自分のやりたいことが分かるまで7年かかりました。

 社員一人ひとりをよく見てくれるのは味の素の文化だと思いますが、当時の上司が私のことを見て、このタイミングでと外に出たほうがいいと考えてくれたのだと思います。

―― それ以降、シェフの味を科学的に解析し、商品開発に生かすというテーマで開発チームを率いてこられましたが、最初に管理職になるまでにはどんな経験があったのでしょうか?

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