手の技と身体感覚から生まれる唯一無二の仕事。「手しごと」に魅了されたARIA世代の日常、仕事との出合い、世界観を聞きます。アパレルの仕事に携わった後、30代半ばで和菓子職人になった異色の経歴を持つ石原マサミさん。伝統の技術を受け継ぎながらも、発信する新しい試みが話題を呼んでいます。

 コロナ禍で強いられたステイホームの間、少し時間をかけて料理や手芸に取り組み、癒やされた人は少なくないだろう。

 本格的な上生菓子が自宅で簡単に作れると人気を呼んだのが、横浜市の和菓子店「磯子風月堂」が2020年4月に発売した「おうちで作る 上生菓子 本格和菓子キット」。自家製の練り切りあんなど材料一式が冷凍で届き、YouTubeの作り方動画を見ながら作れる

 開発したのは常務取締役で和菓子職人の石原マサミさん(53歳)。「数十人単位で時々開催していた和菓子教室がコロナのためにできなくなってしまったので、ご自宅で和菓子作りが楽しめるようにと考えました」

 キットで作れるのは桜、藤、菊など愛らしい和のデザインの菓子。今後はラナンキュラスなど洋花のモチーフの和菓子を作れる「庭の花」シリーズも予定している。

 季節を感じさせるだけでなく、形や色、文様でさまざまな表現ができる和菓子。コロナ下で人気を呼んだマサミさんの和菓子は他にもある。

自宅で気軽に季節の上生菓子が作れる「本格和菓子キット」は、作り方動画とのセット販売で人気を呼んだ(画像/磯子風月堂)
自宅で気軽に季節の上生菓子が作れる「本格和菓子キット」は、作り方動画とのセット販売で人気を呼んだ(画像/磯子風月堂)
和菓子職人の石原マサミさん。磯子風月堂(横浜市)の店舗で
和菓子職人の石原マサミさん。磯子風月堂(横浜市)の店舗で