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認知症の介護に親のお金を使えない? 成年後見制度とは

親が認知症になったとき、職業後見人を付けると、親のお金が自由に使えなくなる!?その理由は……


元気だった親に、認知症の症状が出始めたら……。そんなとき、親の資産を介護の費用に充てるにはどうすればいいのか。知っておきたい制度が、「成年後見制度」と「民事信託」だ。今回は成年後見制度について、「元気が出るお金の相談所」所長で、自らも介護経験のあるファイナンシャルプランナーの安田まゆみさんに聞きました。

 前回お話しした通り(「親が要介護になる前に知っておきたい『お金』の話」)、親が認知症を発症したり、病気や事故で判断能力を失ったりした場合は、本人はもちろん、実の子どもでも預貯金の引き出しも、生命保険の解約もできなくなります。介護費用に充てようと、実家を売却したり、貸したりしようと思っても、一切できません。

 また、親が快適な老後を送るために、高級な老人ホームの入居資金をためていたとしても使えません。これは、親の築き上げた財産を悪用されないために作られた法律によるものとはいえ、子どもに大きな負担がかかります。

高級な老人ホームの入居資金をためていても、認知症になったら使えない(写真はイメージ)
高級な老人ホームの入居資金をためていても、認知症になったら使えない(写真はイメージ)

利用者はわずか5%弱、「成年後見制度」とは何か

 では、親の介護を、親のお金で賄うには、どうすればいいのでしょう。選択肢の1つが「成年後見制度」です。これは、認知症などで判断能力が不十分な人に代わって、「財産管理」や「身上監護」(身の回りの契約行為や諸手続きなど)を行うことを目的として、2000年にスタートした制度です。親が判断能力を失い、回復の見込みがない場合は、後見人を付けることになります。

 成年後見制度には、2つの制度があります。1つは、既に判断能力が不十分な人の親族などが家庭裁判所に申し立てて、判断能力の程度に応じて後見人や保佐人、補助人を選任してもらう「法定後見制度」(*)。もう1つは、判断能力があるうちに、自分が将来認知症などになったときに備えて、信頼できる人と自分の財産管理を頼む契約をしておき、判断能力が低下したら、契約した人が家庭裁判所に申し立てをして後見人になる「任意後見制度」です。

 いずれの場合も後見人の役目は、本人の財産管理と身上監護です。財産管理としては、本人に代わり、必要のない支出はできるだけ避けて、財産を守る。そして身上監護では、本人のために、病院や施設入所などの手続きをするほか、サービスの状況をチェックします。

 一見とても頼もしい制度のようですが、利用者は多くありません。判断能力が不十分だとみられる認知症の人の総数は、2012年の厚生労働省の調査では462万人いるとされますが、成年後見制度の利用者は約22万人で、わずか5%弱にすぎません。その理由は、この制度の使いづらさにあると言われています。

(*)法定後見制度は、判断能力の程度によって、重度なものから順に「後見」(自己の財産を管理処分できない)、「保佐」(自分の財産を管理するには、常に援助が必要)、「補助」(自分の財産を管理するには、援助が必要な場合もある)の3つに分かれており、それぞれ成年後見人、保佐人、補助人が付く
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