今や3世代同居は珍しく、介護も「遠距離」や「おひとりさま」など形を変えています。遠距離介護を支援するサービス「わたしの看護師さん」を提供するN.K.Cナーシングコアコーポレーション代表で看護師の神戸貴子さんに、今役立つ介護についての情報を3回にわたって紹介してもらいます。2回目は介護と仕事の両立です。なぜ仕事を続けることが大事か、じっくり語ってもらいました。

親が倒れた! 慌てずにまずは情報収集

 「親の介護は突然始まる」とよくいわれますが、とにかく目の前のことに対応するので精いっぱいになるあまり、長期の視点を持ちづらくなってしまうものです。「私が仕事を辞めて介護するしかない」と、つい考えてしまいますよね。

 しかし、それでは自分の人生やキャリアを手放すことになってしまいます。経済的な面でいえば、介護にお金がかかるのはもちろん、自分の生活費も子どもの教育費も必要ですし、さらに自分の老後資金も必要です。仕事を辞めるという選択肢は考えず、仕事と介護の両立ができる方法を探してほしいです。

 特に男性に多いのですが、慌てて休業したり離職したりするのは、情報がなさすぎるのが原因です。介護休暇は利用できる日数が決まっているので、最初に慌てて取ってしまうと、集中して介護が必要な時期に足りなくなってしまいます。

 親の体調が悪くなってきたら、一緒に病院に行くことをお勧めします。緊急性のある病状なのかどうか、容体を主治医に聞くこと。よほど病状が重く余命が短いなら集中的に介護休業を取ることも考えられますが、例えばがんが見つかったとしても、必ずしも急に入院ということにはなりません。告知を受けただけで自立した生活を送れる人もいれば、今は治療法も進化して回復する人も多いです。まずは状況を正しく把握すること。

 受診はたいてい平日の日中なので付き添えないと思う人もいるかもしれませんが、その後の対応を考える上で重要な情報を得るために、1度は付き添うことを勧めます。

 新型コロナウイルス禍で県外から来る家族に会うことを制限されていることが多いために、電話対応をしてくれる病院も増えています。電話ででも主治医と話すことが大事。最終的に在宅看護をすることになったら、介護の体制を整えます。

 では、具体的に介護のプランを考える上で気をつけるべき点を見てみましょう。