遺骨を粉末状にして海にまく「海洋散骨」。最近では著名人も利用しており、お墓に入らない葬送方法として知られるようになりました。とはいえ、誰に頼めばいいのか、どこの海にまかれるのか、費用はどのくらいかかるのかなど、分からないことは多い。葬儀・お墓・介護といった終活を取材してきた旦木瑞穂さんが、新しい墓じまいの形をリポートします。

海に散骨した後、花びらをまく遺族
海に散骨した後、花びらをまく遺族
海洋散骨の船からエサを掲げると海鳥が寄ってきて、にぎやかなセレモニーに
海洋散骨の船からエサを掲げると海鳥が寄ってきて、にぎやかなセレモニーに

海洋散骨の認知度は高いが、利用者はまだ少ない

 田舎のお墓を「墓じまい」した後に、遺骨をどこに納めるのか。最近では樹木葬や納骨堂の人気が高い(詳細は『墓じまいをしたら、遺骨はどこへ埋葬する?』)が、遺骨を粉末状にして海にまく「海洋散骨」という選択肢もある。歌手の宇多田ヒカルさんが2013年、母・藤圭子さんの遺灰をニュージーランドで散骨したことで話題になったほか、過去には石原裕次郎さんや横山やすしさん、元X JAPANのhideさんなど、海洋散骨を選択した著名人は少なくない。

 ただ、海洋散骨を知っている人は増えてはいるが、実際に利用している人はまだ少数派だ。日本海洋散骨協会の調査では「知っている」人と「聞いたことはある」人を合わせると回答者の9割を超えたものの、「身近で散骨をした人を知っている」と回答した人は1割にとどまった。同協会では、その理由を「故人をしのぶ場所がなくなることに対して、親族や周囲の抵抗感が大きいから」と分析する。そのためか、散骨するのは遺骨の一部にとどめ、残りは従来の墓に納めることを勧める散骨業者は多い。

 今回は海洋散骨の実際について見ていきたい。

出典:日本海洋散骨協会「海洋散骨に関するアンケート調査報告書」。調査期間は2015年8~9月、対象は20代以上の男女で有効回答数1247件
出典:日本海洋散骨協会「海洋散骨に関するアンケート調査報告書」。調査期間は2015年8~9月、対象は20代以上の男女で有効回答数1247件