見られることに抵抗を感じる親には伝え方をひと工夫

 ネットワークカメラは24時間いつでも家の中を確認できるため、中には設置されることに抵抗を感じる人もいるといいます。

 「ネットワークカメラでの見守りを勧めても、嫌がる人や導入しない人は少なからずいます。親のほうが生活を見られたくないという場合もありますが、見たくない人もいるんです。なぜなら、ネットワークカメラをつないでいても、助けられなかったことに負い目を感じるから。私の手元にも兄が亡くなった日の映像が残っていますが、つらくていまだに見られません。

 けれども、介護は負担を複数の人で分けることが重要です。私はもう一人の兄とネットワークカメラを使うことで、介護の作業量を分担することができました

 介護が必要とまではいかないけれど、行動に気がかりなことが増えてくる高齢の両親の日常をそっと見守りたい人にも、ネットワークカメラは役立ちそうです。福村さんも「まず見守りの入り口としてネットワークカメラを導入してもいいのでは」と勧めます。もし両親が抵抗を感じるようであれば、「防犯のために玄関に設置する」といった理由付けをすると、少しずつその便利さを実感することもあるそうです。とはいえ、見守るほうが仕事中もずっと気になって何かと映像を見てしまい、負担になるほどであれば、導入を見送ってもいいと福村さんは話します。

 福村さんは、ARIA世代にお勧めのツールとして、スマートスピーカーの設置という選択肢もあると提案します。音声操作でAIが日常生活の多種多彩な行動をアシストしてくれる話題のIoT機器は、実は遠隔見守りに最適なのだとか。次回はスマートスピーカーをはじめ、福村さんが実際に使って役立つと感じている、その他のIT機器についても紹介します。

取材・文/鈴木朋子 イメージ写真/PIXTA

鈴木朋子
ITライター/スマホ安全アドバイザー
鈴木朋子 メーカーでシステムエンジニア業務に従事した後、フリーライターに。SNS、スマートフォン、パソコン、Webサービスなど、身近なITに関する記事を執筆している。初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説することに定評があり、入門書の著作は20冊を越える。近著に『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』『LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(いずれも技術評論社)。二人の娘を持つ母親でもある。