会社から実家の様子を見るためネットワークカメラを導入

 福村さんの兄はトイレ、食事、入浴という「三大介護」に介助が必要な状態でした。てんかん発作が夜中に起き、救急車を呼ぶこともしばしば。幼い頃から常に兄の状況を気にかけ、就職して一人暮らしをしていたときも、その心理状態が変わることはありませんでした。

 「両親と兄は奈良、私は職場のある大阪に住んでいました。両親が60代半ばになった頃、兄の状態は進行して寝たきりになりつつあり、体力的に厳しくなったので私が中心となって介護してほしいと親に頼まれました。この段階で、それまで外部サービスを使うことに抵抗を感じていた両親も、入浴の介助をヘルパーにお願いするようになりました」

 ヘルパーの手を借りつつ、在宅介護を続けた福村さん一家。福村さんは仕事も続けていたので、通勤中や会社にいるときでも、兄と両親の様子を見るためにネットワークカメラを導入しました。今から5~6年前、当時1万円程度だったネットワークカメラをリビングの棚の上に置き、リビング全体を見えるように。他のIT機器も増やしていき、もう一人の兄と見守りを続けました。

実家にネットワークカメラを設置すると、離れた場所からでも親の様子を知ることができる(写真はイメージ)
実家にネットワークカメラを設置すると、離れた場所からでも親の様子を知ることができる(写真はイメージ)