コロナ禍で収入が減ったり、今後の減収が不安になったりしている… そんなときこそ、自分のお金の使い方や家計を見直すチャンスです。書籍『ゆるっとお金と暮らしを整える本』では、月刊誌『日経WOMAN』がこれまでの膨大の取材から明らかにした「お金が自然に貯まる人」に共通していることや、今の時代に合った資産形成のメソッドをまとめています。今回は本書から、「iDeCo」と「つみたてNISA」の活用法についてお伝えします。

 毎月確実にお金を貯める仕組みを作り、それを維持できるようになったら、「増やす」ことを考えていきましょう。

 「お金を増やすなんて難しそう」「投資は元本割れがこわい」と、心配する気持ちが先に立つかもしれませんが、大丈夫。ポイントを理解すれば難しくなく、誰でも、自分に合った方法でお金を増やすことができます。その最強の方法と言われるのが、iDeCoとつみたてNISAという「国が用意した2大お得な制度」を活用することです。

老後資金は、まずiDeCoで積み立てる

 少しでも老後資金を増やすには、できるだけ早く積み立てを開始するのが鉄則。その際、使いたいのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。

 iDeCoは、老後資金づくりを目的として、国が用意した制度です。日本在住の20歳以上60歳未満(65歳までに引き上げられる予定)の人なら原則、誰でも加入できます。毎月、一定額を「掛け金」として特定の金融商品(投資信託、定期預金、保険の3種類から選択)を購入し、積み立てていく仕組みです。

 iDeCoがなぜ、通常の貯蓄や投資よりもおすすめなのかは、主に次の2点のお得ポイントがあるからです。

1. 1年間で支払った掛け金の総額が、その年の「所得」から引かれるので、所得にかかる税金が安くなる

2. 運用で得られた「利益」に税金がかからない

 まず、1.の「税金が安くなる」仕組みについて見ていきましょう。

所得に応じて「払いすぎていた税金」が戻る

 会社員の場合、毎月の給料から所得税と住民税を払っていますが、その年の最終的な税額は、「年末調整」か「確定申告」で決定します。税金は、所得に応じて変わるので、所得から一定金額を控除(差し引くこと)できれば、その所得にかかっていた税金も減り、払いすぎていた部分が戻ってくる仕組みです。

 iDeCoは掛け金が全額、所得控除の対象となるので、仮に月1万円をiDeCoで積み立てた場合、額面年収300万円なら年間1万8000円、500万円なら2万4000円も税金を減らせて、取り戻すことができます。将来の備えをつくりながら、手元のお金も増やしていけるので、非常にお得です。

 次に、2.の「運用で得られた利益に税金がかからない」について見ていきます。

 通常は、投資信託の利益や預金の利息に対して、約20%の税金が取られます。5万円の利益が出ても1万円を税金で取られてしまうのです。一方、iDeCoの制度のなかでは非課税なので、5万円を丸ごと受け取れます。老後資金づくりは長い年月をかけて運用するので、もし、利益が大きく増えた場合、このメリットのおかげで圧倒的に得できる、というわけです。