この連載では、常識にとらわれず自分なりの家族のカタチと幸せを追求している人を紹介します。今回登場するのは、都内の一軒家にオタク女子4人で住んでいるフリーライターの藤谷千明さん(41歳)。アラフォー女子4人は、どのような経緯で集まり、一緒に暮らすことになったのでしょうか?

(上)孤独の不安に襲われ泣いた夜、今は女友達4人で一軒家に ←今回はココ
(下)オタク女子4人暮らし いい意味で他人行儀だから快適

37歳の秋 1Kで一人、夜泣いた

編集部(以下、略) 実は私も、都内で二世帯住宅の1階部分を借り、血縁関係のない60代の大家さん家族と同居しています。時々夕食を共にし、大家さん(妻)とは一緒に某アイドルの推し活をして楽しく暮らしているのですが、藤谷さんもオタク仲間4人で一緒に暮らしているそうですね。どういう経緯で同居することになったのでしょうか?

藤谷千明さん(以下、藤谷) 今から4年前の秋。37歳のときに、一人暮らしをしていた1Kの部屋で、将来が不安でメソメソしていたんです。

―― 何があったのでしょうか?

藤谷 いくつか理由が重なっていて。まず、そもそも1Kのマンションで一人暮らしをしていたのは、十数年一緒に住んでいたパートナーと別れ、同居を解消したからです。そしてその数カ月後に駅の階段から転げ落ちて左肩を痛めてしまい、半年くらいたっても快方に向かわず、健康上の不安が募っていき……。当時は狭い部屋に趣味の本やCDを詰め込んでいたので、部屋の散らかり具合は右肩上がり、一方メンタルはどん底でした。

 さらに、二人暮らしから一人暮らしになると生活費の負担額も上昇するので、安定しているとは言い難いフリーランスのライターという職業柄、お金の不安もありました。こうした状況が重なって精神的に追い詰められ、ついには孤独死の不安まで感じるようになり、なんだかメソメソしてしまいました(笑)。それで、何かあったときに一人だとさみしいのと、生活コストを下げるために誰かと暮らしたいと思ったんです。

地元の工業高校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。退職後に上京し、フリーランスのライターになった藤谷千明さん。ビジュアル系バンドを推していて、趣味と実益を兼ねてサブカルチャー分野で執筆を行っている
地元の工業高校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。退職後に上京し、フリーランスのライターになった藤谷千明さん。ビジュアル系バンドを推していて、趣味と実益を兼ねてサブカルチャー分野で執筆を行っている

パートナーや結婚を求める気持ちがそこまでなかった

―― ペットを飼う、パートナーを探す、などの選択肢もあったと思います。それを選択しなかったのはなぜでしょう?

藤谷 まず、ペット可の賃貸物件は家賃相場が高く、餌代や動物病院代などのランニングコストもかかるので、経済的不安が解消できないからです。次に、パートナーと暮らせば経済的な負担は軽減するかもしれませんが、さみしさや経済的不安を埋めるために誰かと交際するのは失礼だと思いました。そもそも恋愛に積極的になれる状況でもなかったので、パートナーや結婚を求める気持ちがそこまでなかったんです。

―― 同居するメンバーはどうやって集めたのですか?

藤谷千明さんの家族のカタチ