20代はモデル、歌手、女優として表舞台で華やかに活躍。28歳で結婚した後、4人の子どもの母として子育てに専念していた時期もあった桐島かれんさんのインタビュー。子育てに追われる30代、自宅で細々と始めたライフスタイルショップが事業としても成長していきました。連載1回目は50代でやっと向き合えた「本当にやりたかった仕事」について聞きました。

谷底に落ちながらようやく「見渡せる場所」に着いた

―― 現在55歳のかれんさん。30代、40代と比べて50代はどんな時期ですか?

桐島かれんさん(以下、敬称略) 50代になってどんどん忙しくなっています。子育ては一段落つきましたが、とはいえ下の子はまだ高校生なので、家のことや仕事のことで毎日があっという間。自分の体力は落ちますから、少々体調が悪くてもそれが普通な感じです。人生が山登りだとすると40代50代は山の頂上に達して、ちょうど下りてくるあたり。険しい上りがあったり谷底に落ちたりしたこともありますが、いろいろなことを学び、一通りのことを経験して、ようやく全体を見渡せるところに来た感じ。一つのターニングポイントですね。

―― 今はライフスタイルブランド「HOUSE OF LOTUS」のクリエイティブディレクターとして活躍しています。モデルや女優として華やかなお仕事をしていたかれんさんが、ライフスタイルショップを始めたきっかけは何だったのですか?

桐島 独身のころから衣食住の「住」にこだわりがありました。「生活感」の代表選手ともいうべきティッシュの紙箱ひとつにしても、そのまま部屋の片隅に置いて消費するように使うよりは、何かしら自分のアイデアやセンスを盛り込んでインテリアに馴染ませたい、といった感じで。普段の生活こそが美しくあってほしいと思っています。だから、まだ次女が生まれたばかりで子育てに忙しかった30代のころ、自宅を開放して好きな世界の民芸品や雑貨を売るお店を始めました。当時は仕事という意識もなく、夏休み中だけ3週間ほどの期間限定オープン。4人の子どもを育てていた中ではそれが精いっぱいでしたが、自分が好きなこと、夢中になれることをできて楽しかったですね。

「40代50代は山の頂上に達して、ちょうど下りてくるあたり。いろいろなことを学び、一通りのことを経験して、ようやく全体を見渡せるところに来た感じです」
「40代50代は山の頂上に達して、ちょうど下りてくるあたり。いろいろなことを学び、一通りのことを経験して、ようやく全体を見渡せるところに来た感じです」