では、個々の企業はどうすれば生き残っていけるのかといえば、その時代に対応して「変化を繰り返していく」以外の方法はありません。

不況の破壊力=新しい産業の原動力

 「現在の人工知能ブームには、リーマン・ショックが大きく関係している」。謎かけのようですが、それが私の仮説です。

 投資銀行には、有能な理工系のエンジニアが大勢雇われていました。リーマン・ショックで解雇された彼らはどこに行ったか? 彼らはいわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などテクノロジー企業に採用されていったといわれています。

 一方で2008年ころから「ビッグデータ」という言葉が聞かれるようになりました。そして今の人工知能ブームの先駆けになったのは、グーグルが2009年に自動運転車の開発に着手したことだと言われています。

 その動きは単なる偶然ではなくて、優秀なエンジニアが大量にデジタル系企業に移ったからであり、その背景にはリーマン・ショックがあったからではないか、と私は推測しています。

 よく聞く「創造的破壊」は、経済学者シュンペーターの言葉です。シュンペーターいわく、不況というのは次の産業の発展に非常に有効である、なぜなら不況は、不要なものや無駄を淘汰するから。これこそ創造的破壊であるとシュンペーターは言っています。

 経済ショックや不況というのは、次の新しい産業を切り開く原動力にもなるのです。

デジタル系企業の淘汰、その次に来るのは?

 現在の、デジタル系企業の覇権はどうなっていくのか。これも長く続くということはない、やはり淘汰されていくでしょう。では、デジタルの次の新しい産業とは何でしょう? 私は、次は再び「ものづくり」に注目が集まるのではないかと考えています。

「経済ショックや不況というのは、次の新しい産業を切り開く原動力にもなります」
「経済ショックや不況というのは、次の新しい産業を切り開く原動力にもなります」