「アフターコロナ」は、今とは違う世界かもしれない

 遅かれ早かれ、この事態が収まったとき、その後に訪れる「アフターコロナ」の時代は、どんな世の中になるのでしょう。既に、私たちの暮らしや意識は大きく変わりました。例えば人との接触を控え、約2メートルの「ソーシャルディスタンス」を取ることを誰もが意識しています。また、マスク着用での外出が定着し、ファッションブランドのおしゃれなマスクも登場しています。

 働き方でも、IT系企業や大企業を中心にテレワーク化が進み、ベンチャー企業の一部では、学生のインターンもテレワークで行われています。医療分野では、期間限定ではあるものの、医療機関での初診での遠隔診療も可能に。プライベートでも、人の移動や密集を避けるため、「大型連休には帰省せず、ビデオアプリなどで家族と交流してほしい」という呼びかけまで行われました。今まで「日本では難しい」といわれていたことが、次々と実現されています。

 最初は戸惑いながらも「やってみたら慣れた」「意外に便利だった」という経験の後、「コロナ前」の世界にそのまま戻ることは考えづらいでしょう。会議は「重要な会議を除いてオンラインで」が定着するかもしれず、そうなれば「オフィスのコンパクト化」あるいは「オフィスは不要」という変化を起こすかもしれません。そして出勤が減れば、ますます「労働時間の長さではなく、成果で評価する」という方向に、人事評価も変わらざるを得ないでしょう。

 こうした変化を定着させるためには、学術的な検証も必要です。例えば、テレワークで本当に生産性が上がるのでしょうか。これについては興味深い論文が発表されています。結論から言うと、単調な仕事の場合はリモートワークによって生産性が下がり、クリエーティブな仕事の場合は生産性が上がるというものです。*1)

*1)E. Glenn Dutcher “The effects of telecommuting on productivity: An experimental examination. The role of dull and creative tasks” 在宅勤務が生産性に及ぼす影響