私たちがテレビなどのメディアで触れている経済問題は一般的な解釈(A面)です。一方で経済問題には「こういう見方もある一方で、こういう見方もできる」という別の視点(B面)が存在します。ARIA世代が知っておくべき経済問題の「A面」と、そうだったのか! と思わず膝を打つ「B面」を、気鋭のエコノミスト・崔真淑(さいますみ)さんが分かりやすく読み解きます。

「30年半ぶりに日経平均3万円台回復」違和感の原因は?

 2021年2月15日、東証で日経平均株価が3万円台を付け、1990年8月以来の3万円台回復となったことが大きなニュースになりました。その後の日経平均株価は、一時は調整しながらも、3万円前後で推移しています。

 株高の原因としては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が本格的に始まること、パンデミック後の経済回復への期待が高まったこと、などの見方があります。しかし、コロナ禍で経営が厳しいという話は聞いても、景気のいい話はあまり聞きません。「バブル期のような株価」といわれたとき、皆さんが本当に知りたいのは、「こんなに肌感覚に合わないことがなぜ起きているのか」ということではないでしょうか。

 そもそも、株価は単なる数字に過ぎません。株価という数字だけを見て、今がバブルだと言えるでしょうか。本当に株価が相対的に上がりすぎているのかを知るためには、別の視点が必要です。

「景気がいい」実感が伴わない株価高騰の理由は…?
「景気がいい」実感が伴わない株価高騰の理由は…?

 まずは、株価の指標で確認してみましょう。代表的な株価指数はPERとPBRです。

PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)、PBR (Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)
PERは純利益を基準に、PBRは純資産を基準に、株価の割安感、割高感を示す。ともに数字が大きいほど株価は割高、小さいほど割安という意味になる。

 日経平均株価とは、東京証券取引所市場第一部に上場する企業の株式の中で、代表的な225の株式の平均です。PERとPBRは、日経平均PER、日経平均PBRとして日経平均でも算出することができます。